2016年新春号
のれんメール
のれん28,1,2,月号
★落し水低き棚田を落ちにけり 夏 山(十 月)
★ あら玉の春や御垣の雀にも 北 元(一 月)
★ 雪をんなこちふりむいていたともいふ 素 道(一 月)
★ 春寒し荒神松の深みどり 梅 室(二 月)
★ 早春の松に遊べる四十雀 京 童(二 月)
新歳時記より
昔、むかしのお餅のおはなし
餅を主体とした羹(あつもの)の雑煮が、新年を祝う食行事として定着したのはいつ頃からだろうか?
正月の神祀りに鏡餅を神饌としてお供えしたのは「正倉院文書」にも、記録されているから、飛鳥時代以前だろう。
平安朝の宮廷で行われる年中行事にも四方拝(一月一日)に鏡餅を供える儀式があった。長寿を祝い年歯を重ねるという意味から「御歯固め」とされていた。生命の神秘を司る神に、先ず食べ物を供えるのは、食を無視しては生命の存在はなく、生命を無視して神の加護は考えられなかったのであろう。
老舗と私 御昆布司 松前屋
<毎日の食卓に 古伝の塩昆布を>
1912年の創業以来、初心を忘れず最高の昆布にこだわり続けた「松前屋の昆布」は、独自の製法で仕上げた逸品揃い。朝、晩の食卓に美味しさを添え、お昼のお弁当にもほんの少しあるだけで、心豊かに食べやすくしてくれる。
昆布は喜びに通じ、古来、慶事には必ず用いられている。正月用の煮〆、結納、結婚式、受賞のお祝いの引き出物、また今は長寿になったが、古希をはじめ折々のけじめのお祝い
等、また日頃お世話になった方への感謝のしるしとして、あるいは贈答用品として、とても重宝なものである。
菊正宗株式会社の記念館館長・村田 祥さんより<おいしく日本酒を楽しみましょう>とのテーマでお話しを伺った。先号の続き。その2.
日本酒は温めることで一層香りが際立ち、日本酒独特の穏やかでほのかな香りが広がる。また、味がより一層豊かになると共に、魚料理の生臭さを消す働きが強くなり、一般的に料理の範囲が大きく広がる。
<なぜ燗酒はおいしいの?>
1、 人間の味覚の感度(鋭い・鈍い)が温度によって大きく影響を受ける。
温度が上がると、塩味、苦味、渋味は弱くなり、甘味、酸味はゴク味に変化する。
甘味は丁度体温付近の37~40Cで最も強く感じる。
それ以上は、甘味はやや弱くなるが、旨味の成分としてゴク味を形作る。
温度が高くなると、塩辛味、苦味の感覚は弱くなっていく。
渋味も温度が高くなるにつれて、弱くなっていく。
<折にふれて> バレンタインデーのこと
バレンタインデーにチョコレートが贈られるようになったのは、果たして何時のことからだろうか。第二次大戦後占領軍の影響を受けたのだろうか?
私の若い頃は、ヨーロッパでは、この日に限って女性の方から、日頃思いを寄せている男性に愛を告白しても「はしたない女」と軽蔑されない。そしてその時にチョコレートをプレゼントするらしい。とかいいながら、実際に渡したりはしていなかった。
子育てに夢中のうちに、そういうことに関係なく過ごしていたが、息子が中学生になって、プレゼントされたチョコレートを沢山持って帰ってきたり、娘がボーイフレンドにチョコレートを用意しているのを見ているうちに、世の中もこういうふうに変わってきたのだと、自分なりに納得もした。