<折にふれて>  バレンタインデーのこと

chokoバレンタインデーにチョコレートが贈られるようになったのは、果たして何時のことからだろうか。第二次大戦後占領軍の影響を受けたのだろうか? 
私の若い頃は、ヨーロッパでは、この日に限って女性の方から、日頃思いを寄せている男性に愛を告白しても「はしたない女」と軽蔑されない。そしてその時にチョコレートをプレゼントするらしい。とかいいながら、実際に渡したりはしていなかった。
 
子育てに夢中のうちに、そういうことに関係なく過ごしていたが、息子が中学生になって、プレゼントされたチョコレートを沢山持って帰ってきたり、娘がボーイフレンドにチョコレートを用意しているのを見ているうちに、世の中もこういうふうに変わってきたのだと、自分なりに納得もした。

 
 そのうちに、娘が本命チョコと義理チョコを区別するようになり、本命チョコを手作りするようになった。出来上がったものを綺麗に包装してリボンをかけ、なんと二つもこしらえた。本命チョコを二つもこしらえて、この娘は一体何を考えているのかと不安に思ったが、当日の朝に父親(つまり私の夫)に本命チョコを渡して、本命チョコ一つと義理チョコを持って学校へ行った。
 思いもよらず娘から手作りのチョコレートをプレゼントされたわが夫は、感激のあまり大はしゃぎで、友人達に電話をしては自慢げに話していた。ハート型の小さな可愛いチョコレートを嬉しそうに毎日一つずつ楽しんでいた。
 
 翌年からは私もわが夫にチョコレートをプレゼントするようになった。しかし、最初の娘の本命チョコは、余程嬉しかったらしく、時々思い出しては話題にしていた。
 私も義理チョコが少しずつ増えるようになり、若い娘さん達に混じって、この寒い季節にも関わらず、デパートの売り場に大汗をかきながら、毎年出没している。

 オーソドックスな昔からのハート型やら、その時々の世相が反映して、斬新なアイデアの新型が出たりしてくると、今時の若い世代の人々は何を考、何を求めているのか、おぼろげながら、理解出来るような気がしてくるから不思議である。
今年はどんなチョコレートが出てくるのか楽しみにしている。義理チョコの場合、あまりお金をかけていないのに、高価なお返しを戴いたりしたら、次からどうしょうかと、考えてしまう。       
                         東 雲 宣 子