2011年新春号
酒文化
酒は洋の東西を問わず人間に幸福感を与え、ともに飲みあう仲間の関係を円満にさせるということにおいては、これに勝るものはない。
人間のみがもつ、貯えるという能力は、穀物や果実を食用として貯蔵し、そのうちに自然に醗酵したのが酒だったのである。縄文の頃の土器にたぶん果実酒がもりこまれ、人々に思いもよらぬ楽しさをもたらしたのである。
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老舗物語 ― 米忠味噌株式会社
{味噌屋の手前味噌な話}
今回は、地方別「郷土のみそ」についてお話し申し上げます。
★北海道地方
北海道でみそが本格的に造られるのは、明治時代に開拓が始まってからのこと。他の地方ほど歴史はありませんが、出身がさまざまな人の好みに合わせた、どこの地方にもかたよらない味噌が工夫されました。こうして出来上がった北海道みそは、ほとんど辛口の米みそ、そしてクセのない万人向きの味が特徴です。
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鍋物
旬の味・なべもの
冬将軍の冷たい風にさらされた身体を暖めてくれるのは、なべものが先ず思いつく。
なべものの鍋は、水炊きはやはり土鍋がすてがたい。土鍋は重いうえに壊れやすく、煮立つまでに時間がかかるが、土鍋特有の雰囲気がかもしだされて、なごやかさが演出される。すき焼きなどは鉄鍋がよく、汁が煮詰まっても、土鍋のようにヒビが入らない。昔は独特に工夫した紙のおなべを売り物にしていた高級料亭があったが、最近は一般の飲食店でも使われているのを見かけることがある。なべものの種類は多数あり一般的に
●すきやき・しゃぶしゃぶ・チリ鍋・寄せ鍋・豆腐鍋・土手鍋・キムチ鍋・牛乳鍋等がある。
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月号折々の詩
節分のこと
子どもの頃、毎年節分になると、各家々の軒先に、いわしの頭を柊の枝に刺してあったのを覚えている。魔よけのおまじないなのだが、幼い私にとって、夢にまで出てくるくらいいわしの頭が、不気味だった。
節分の夜の膳には、麦ご飯と、必ずいわしの焼いたのが、一尾ずつ大根おろしと共にお皿にのっていた。母はいやがる子どもたちに言い聞かせた。
「どんなに貧乏しても、せめて麦ご飯といわしぐらいは食べられますように、と言うおまじないなのだから、残さずに食べなさい」
兄や姉たちは、なにしろいわしを食べないと、次の『おかず』をもらえないものだから、さっさと食べて、ご馳走をもらっていた。いわしの好きでなかった私は、いわしを少しだけ口に入れて、ごはんを沢山飲み込むものだから、お腹が一杯になってしまって、いつもご馳走は食べられなかった。
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のれんメール
皆様お揃いで佳き年をお迎えのことと拝察申しあげます。
小寒から立春前までを「寒」と申しますが、昔から寒中の水は薬だといわれておりますが、お酒を造ったり、お餅をついたり、あらゆる食べ物づくりに最も適しているのです。もちろん、この好期を見逃すはずはなく、寒の水をフルに活用して、より良いものをと精進いたしております。
一月は華やいだ月、新春の会合、初釜など。二月は節分豆まき、バレンタインデーなどには、老舗が伝統と技をかたむけてつくりあげた品々をご賞味ください。
甘辛のれん会 大寅・主人 小 谷 公 穂
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