老舗物語 ― 米忠味噌株式会社

miso1.jpg {味噌屋の手前味噌な話}

今回は、地方別「郷土のみそ」についてお話し申し上げます。

★北海道地方
 北海道でみそが本格的に造られるのは、明治時代に開拓が始まってからのこと。他の地方ほど歴史はありませんが、出身がさまざまな人の好みに合わせた、どこの地方にもかたよらない味噌が工夫されました。こうして出来上がった北海道みそは、ほとんど辛口の米みそ、そしてクセのない万人向きの味が特徴です。

★東北地方
 気候が厳しい東北地方では、みそ造りは、飢饉などに備えるための大切な仕事でした。そのため、東北の各県は特にみそとのかかわりが深く、今も昔の国名や藩名をつけたみそが造られています。それらは麹の多い少ないはありますが、赤色、辛口の米みそという点では共通しています。

★甲信越地方
 甲信越地方は、東北と並んでみそとのかかわりの深い地域です。新潟では越後みそ、上越みそ、佐渡みそなど、地域によって多少製法が異なりますが、赤色で辛口の米みそが造られます。長野では淡色で、辛口の米みそが造られます。生産量は全国の工場生産の約4割を占め全国に流通しています。

★関東地方
 関東地方は、気候的に恵まれているので、東北などに比べれば、みそへの依存度は低い地域です。北関東の一部に麦みそ、東京に甘口の米みそがありますが、関東一円で作られるのは、辛口の米みそです。

★東海地方
 東海地方のうち、静岡は米みそ圏で、白みそと淡色辛口みそとの中間の、相白(あいじろ)みそがあります。愛知、三重、岐阜の3県では、大豆と食塩を原料にした豆みそが造られます。みその中では、たんぱく質をもっとも多く含んでいるので栄養価も高く、独特の旨みをもった色の濃いみそです。

★北陸地方
北陸は東北と関西の接点。みそも両方の特徴をもった、淡色で辛口の米みそが造られます。富山や能登には水分の多い赤みそ、石川には加賀藩の軍糧用として発達した赤みそ、福井には京都の影響をうけた、多少甘めの赤みそがあります。

★関西・中国・四国・九州、沖縄各地方は次号へ。