2020年新春号
のれんメール
●とかくして松一対のあしたかな 移 竹(一月)
●初空や西と東に駒ケ岳 矢 暮(一月)
●初牛や禰宜に化けたる庄屋殿 也 有(二月)
●門前や子供の作る雪解川 一 茶(二月)
新歳時記より
<新玉に 先ず祈りたや 平和と 災害の無き事を>
毎年めぐってくる来るお正月と言えばそれまでのことですが、それでも、年の初めに当たり、思いを新たにして、今年こそは佳い年でありますようにと、気持ちを引き締めて新年を迎えます。
我々も年の初めに当たり、益々心を引き締めて、意欲的に、伝統の味の上に、尚かつ工夫をこらし、皆様のご期待に応えるべく励む所存でございます。
6日小寒、21日大寒。寒づくりは特に大切に扱い、この寒を利用して、より良きものをつくろうと心新たに接しております。古いのれんを守り、新しい努力を続けております。
今年も旧に倍して、ご用命いただきますようお願い申し上げます。
甘辛のれん会代表幹事 大阪の駿河屋主人 岡 本 全 晃
●鯛の真味
お正月といえば<タイ・たい・鯛>という時代も、はや過去のものとなったのか? 若い世代は、目出度いの、鯛に通じるといっても、あまり拘らない。
それに高価なせいもある。
姿が、美しく美味なので、日本料理では、魚の王として君臨し、祝い事の料理に欠かせないものとなっている。
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●コーヒー
ひと仕事を終えてホットした時、香りのいい一杯のコーヒーは、身も心もリラックスし、次なる仕事への意欲をも湧き起こす。
コーヒーは、何といっても<煎り立て>に限る。煎り立てといっても、一度に沢山買ってもいくら良い豆であっても、味も香りも落ちてしまう。密閉の出来る容器に保存する。
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老舗と私 ●あみだ池・大黒 <粟おこし>
<おこし>は、奈良時代に豊作祈願のお供え物として神に捧げられたのが始まりという歴史のあるお菓子。
江戸時代、当時の大阪は、各地の産物が集まる<天下の台所>といわれていた。千石船によって運ばれてきた良質の米に目をつけて<おこし>を作りはじめたのが、文化2年(1805)のことである。
なぜ、【岩おこし】というのですか? とお尋ねしたことがあるが、運河工事などで、あちこちから出てくる<岩>にたとえ、浪花の繁栄を象徴する意味が込められているということで、納得した。大阪名物として、広く土産物としても、愛され、親しまれている。
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老舗と私 ●小倉屋山本 昆布
初めて<えびすめ>を口にした時、「これが昆布なのか?」と驚いた。
人をして「美味しすぎる」とまで言わせた<えびすめ>は、その風味が、昆布の中でも、格別と言われる北海道道南の真昆布を選りすぐり、伝統の技で仕上げた絶品である。
大切なお客様のお帰りの際は、母は、必ず<えびすめ>を買い整えていた。大阪名物の老舗の昆布なら、どなた様にも喜んでいただけるから、安心してお持ち帰り願える、というのが、母の信念なのである。
お茶漬けや、お茶うけ、お弁当に、お椀に2~3枚浮かべて優雅な<はし洗い>に、楽しんで戴いている様子を思い浮かべるという。以後、私も母の心を受け継いで、考え方を改めて、先様が喜んで下さる為には、家族構成とかを頭に入れて品選びをしている。
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