2020年春号

のれんメール

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のれん令和2年3,4,5月号
                    
●行灯で菜をつみにけり春の雨     一 茶(三 月)
●木蓮や雲やはらかにゆきかひて    峡 川(四 月)
●六十にして生れし家の柿若葉     水竹居(五 月)

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●海の幸・山の幸

fa9d926d55823626f0c60e03f9a5af83_s★桜鯛  春暖と共に陸地近く群来する鯛のことで、産卵期を前にして、味もよく、漁獲量も多い。淡紅色の美しさから「さくら」の名が冠せられたが、実際は晩春期、花が散って、若葉になる五月初旬、中旬が最盛期で、古来瀬戸内海を本場とし、俗に「魚じま」と称せられている。
年間を通して豊漁期だから魚の島が築かれるとの意だろうが、中心をなすのはこの鯛で、特に初鯛、魚島鯛、金山鯛と呼んで珍重した。従って、初網に入ったものは、飛び離れた祝儀値で取引された。
 八十八夜を中心として約一カ月間、鮮鱗の美味を味わうことが出来る。
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●花に寄せて

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★蠟梅(ろうばい)
 あれは、もう40年も前のこと、当時郷土研究会に入会して熱心に歴史を学んでいた頃、先輩の幹部の方のお宅へ、所用があり、序でに歴史について話しこんでいた折りに、広い庭にも案内していただいた。
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●老舗と私  菊正宗株式会社  清酒<菊正宗>

WS000000 菊正宗と私とは古くから縁があって、子どもの頃に遡る。父は来客の接待には、必ず、<菊正宗>を用いていた。母も贈り物には<菊正宗>をわざわざデパートまで出向き、贈っていた。幸せそうに飲む父を見て育ってきた私は、<菊正宗>に親しみを感じていた。

 長じて、就職した会社が、<菊正宗>と関係があり、1年に一度くらい社長がお見えになり、其の時は、本社から社長が大阪支社まで出てきて、それこそ会社を挙げて、お迎えしていた。入社して初めてこの光景を見た時、私は心底驚いた。社長が来られたと社員が総出で出迎えたのに、その社長が、丁重にお迎えしているこのお方は、神様みたいだなと、思った程であった。父が飲んでいた<菊正宗>のお酒の社長さんが、こんなにえらいお方だったのか。其の時の驚きは、今でもしっかり私の脳裏に焼き付いている。
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●老舗と私  株式会社先春園本店  御銘茶

otya <先春園>との絆は深い。幼少の頃、母は来客があると、必ず、別の茶筒から茶葉を取り出して丁寧に茶を淹れていた。ある日おねだりして、序でに淹れてもらったところ、お客様用のお茶は、日常に飲んでいるお茶と比べて、こんなに美味しいものなのかと驚いた。以後来客があると事前に解っている時は、家にいるようにして、<ついで>におねだりをするようになった。
 母は「これは、上等のお茶だから常に飲むものではないの。商売用のものだから、家の者は飲んではいけないのよ」と内緒でくれた。そんなことを云いながら、母もそっと残りを淹れて、二人で、見つめ合いながら、こっそり飲むこともあった。
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