のれん31,1,2月号  暖簾歳時記

konbu
●小倉屋株式会社  匠の技 昆布の小倉屋 大阪心斎橋

をぐら屋はひたすらに、昆布をつくり続けてきた。伝統に輝く重厚な味、たゆまなく研鑽された信頼の技術。時代のニーズに敏感に対応する柔軟性。全てが上手くマッチして、昆布の旨さを全部出しつくしている。
祝い事の中でも、昆布は重用な位置を占めている。お正月料理をはじめ、縁起ものとして、結婚式の結納用に「子生婦」、として、丈夫な子どもが産まれるようにとの願いが込められている。
昆布は、日本人に不足がちな栄養素が豊富に含まれている。昆布はビタミン・食物繊維が豊富で、それ以上にヨードや、アルギン酸等のミネラルが豊富で、カルシウムは牛乳の7倍で、鉄分は30倍もあり、健康に美容にこれ以上の物は無い。

●嘉永元年(1848)創業。170年の歴史を誇る。
食生活の変動で、多様化、簡素化の時代の現在、昆布を「浪花名物」の伝統として守り続けている
●昭和32年(1957)扇翁(おうぎおきな)農林大臣賞を受賞。
                                         
▲をぐら屋を代表する最高級の製品。
△扇おきな(おうぎおきな)手製白おぼろ昆布。北海道産天然真昆布を使用
△白尉(しろのじょう)  手製白とろろ昆布。北海道産天然真昆布を使用。
△黒尉(くろのじょう)  手製黒とろろ昆布。北海道産天然真昆布を使用。
                                                 
★極上 手がきおぼろ昆布・とろろ昆布
 原料には、北海道天然真昆布を使用しているが、当社使用の真昆布の産地は、「白口浜」といって、特に味良く、旨味も強く、癖がないのが特徴で、昆布加工に最も適しているので、「昆布の王様」といわれている。その中でも肉厚、傷がなく形の整ったものを厳選している。
                                           
●酢に浸す時間、包丁での削り方や、研ぎ方など、職人の永年の経験と努力が必要で、当店職人「三田嘉治」はおぼろ昆布の手漉き(てすき)職人として60年間の経験を有している。味の特徴としては、ふわりと溶けるほどに薄く、熟成された真昆布から出る旨味を最大限に
引き出して、甘味と香りが、口いっぱいにひろがる。まさに匠の技である。
彼は、昭和32年家業であった、手加工昆布の昆布職人になり、昭和60年に小倉屋株式会社堺営業所で昆布職人として就職。現在まで昆布一筋に生きている。貴重な存在である。
                                   梶 康子