老舗歳時記

あみだ池大黒●あみだ池大黒   おこしのこだわり製法
            

 こだわりの製法は、創業者・小林林之助に始まり歴代で相伝されてきた。独特の嚙みごたえと、口どけ感、味わいなど、環境の変化で食感も微妙に変化するおこし。厳選された天然の素材は、新鮮な播州うるち米(明石、神戸、小野)・佐賀産ヒヨクもち米。
丹波種の北海道産黒豆と、国内産在来種にこだわっている。

                                      

 江戸時代の料理書「料理物語」や「和漢三才図会」には糒・おこしの製法が記されている。江戸時代の大坂は全国物産の集散地で「天下の台所」と呼ばれ、「おこし」の原料である良質の米。飴などが入手しやすかった。初代はこれに着目し、長堀川の畔、あみだ池に店舗工場を建て美味い「お米のおこし」を作り始めた。
 こうして大坂が栄えると共に「おこし」は<身を起こし、家を起こし、国を起こす>縁起の良いお菓子として大阪名物となり、広く人々に親しまれるようになった。

●1805年 文化2年 初代小林林之助(利忠)はあみだ池に店を開く
 当時大坂で「河川の掘り起こし工事」が多かったことから、福を呼ぶ「大坂の掘り起し岩おこ
 し」として全国に広がる。また、蔵屋敷に出入りの人々や近くの茶屋で遊ぶ商人や、文化人が
 お土産として愛用した。
●1899年 明治32年 日露戦争では明治天皇より戦場の兵隊に配る「恩賜の御菓子」として
 万箱のご下命を頂く。三代目利昌は不眠不休で完納。以後、宮内庁御用達の栄に浴す
●1928年 昭和3年  手作業に限界を感じ、一貫生産の近代工場を完成。
●1945年 昭和20年 3月、第二次世界大戦・大阪空襲の際、店舗・工場が全焼。
●1951年 昭和26年 株式会社あみだ池大黒として営業を再開。
●1956年 昭和31年 和洋種類の味が楽しめる「福の花」を発売
●1970年 昭和45年 大阪千里の万国博覧会に出店「福の花」は全国的に人気を集めた
●1978年 昭和53年 大阪商工会議所より百年以上永続企業として顕彰受賞
●1981年 昭和56年 薄くて軽い新感覚のおこし「浪の詩」を発売
●1985年 昭和60年 欧風創作菓子「on first」シリーズ発売
●1987年 昭和62年 本社・工場を西宮浜工業団地に移転。多角的な生産体制を整える
●2005年 平成7年  阪神大震災で工場が被災。
●2003年 平成15年 「復刻版粟おこし・福おこし」を発売。健康、自然志向の商品展開 
 

 伝統を大切に守りながら、新しいものへと、弛まざる精進を続ける「あみだ池大黒」は次代を
 目指して益々発展してゆく。                    梶 康子