のれん歳時記 大寅蒲鉾株式会社   <つくるも売るも買う心>

 大寅明治九年創業以来実に150年に迫ろうとしている。手づくりの蒲鉾一筋に老舗の味を守り続け、更に吟味を重ね、丹精を込めて出来上がった大阪の味である。
 その製品は高く評価され、贈答用に最適とされている。贈る人の人柄まで伝わってくるようなそんな気持ちにする風格をもっている。
 蒲鉾は低カロリーのうえ、良質の魚カルシュウムを豊富にふくんでいて、その上、すりつぶした白身の魚を材料としているので、消化にとても良い。低カロリー高タンパクの食品として、これからの食生活をリードしていくものである。

 大阪の「大」の字と初代小谷寅吉の「寅」を屋号に大阪ミナミ戎橋筋を本店に代々美味しい蒲鉾・天ぷらを提供することに情熱を傾けてきた。蒲鉾の美味しさは、舌に感じる「味」と、「足」と呼ばれる歯ごたえによって決まる。鮮度の高い魚と、受け継がれてきた伝統と技術と気配りの行きとどいた接客にこだわり、ご家庭で、ご進物に、冠婚葬祭に利用、重宝されている。

●明治 9年 大阪湾沿岸で獲れるハモ、エソ、白身の魚を原料として蒲鉾業を創業。
●明治25年 大阪戎橋筋に新店舗。屋号を「大寅」と定めた。時代を先取りし、今でいう商品券的な<蒲鉾引換券>なども考案。
●大正期 東シナ海を漁場とする以西底引漁業に着目し、グチを使用して在来の蒲鉾に勝るとも劣らない製品を創造し、「大寅グチ」「大寅ニベ」といわれ、大寅の基礎をかためた。新たな開発意欲で、多様な魚種を原料とし、蒲鉾の美味しさを追求した。
●昭和期 二代目小谷権六は、蒲鉾業界初めての全国蒲鉾組合連合会の設立に寄与し業界発展のために尽力した。
●昭和24年 株式会社組織。たゆまぬ研究の結果、中でも亀甲の模様に焼きあげられた「焼通しかまぼこ」は非常な好評を得て、多くの賞を受けている。水産庁長官賞。
●昭和26年 両陛下に献上。農林大臣賞受賞。
●昭和27年 農林大臣賞受賞。   ●昭和28年 農林大臣賞受賞。
●昭和29年 両陛下に献上。    ●昭和32年 総理大臣賞受賞。
●昭和37年 業界最高の栄誉に輝く天皇杯授与。
●昭和から平成と現在に至るまで、多くの賞を受賞。
●昭和45年 近代設備を誇る工場を新設。生産量の増大、技術革新を図る。
       活性汚泥式汚水処理施設を設置。モデル工場的存在となる。
●平成 3 年 新工場完成。手づくりの良さをそのまま取り入れた最新鋭の設備を導入。こだわりの調理から包装まで一貫して製造している。
★大寅は、蒲鉾のパイオニアとして、今後も精進し歩み続ける。         梶 康子