老舗とわたし 日本酒あれこれ

日本酒正宗株式会社の記念館館長・村田 祥さんより<おいしく日本酒を楽しみましょう>とのテーマでお話しを伺った。

日本酒は温めることで一層香りが際立ち、日本酒独特の穏やかでほのかな香りが広がる。また、味がより一層豊かになると共に、魚料理の生臭さを消す働きが強くなり、一般的に料理の範囲が大きく広がる。燗の温度も熱燗から上燗(適燗)、ぬる燗と、季節、好み、酒質、料理によって様々に選ぶことが出来る。しかし、熱燗といっても60c以上の燗はいけない。


○熱燗(あつかん)   55c前後。60cを越えない。一気にアルコールが口中に胃にしみわたり、お酒を飲んだ満足感がある。身体がすぐに暖まる。
○上燗(じょうかん)  50c前後。香りが際立ち、魚介類の生臭みが抑えられる。料理との相性が広がる。
○ぬる燗(ぬるかん)  45c前後。人肌(ひとはだ)。40c付近。一口量が増えることで、お酒の旨さを十分に感じとることができる。

和食には日本酒と簡単に思っていたのだが、もっと深く知っていたら、違う楽しみ方があった。料理の素材、調理方法、お酒の種類や温度などで異なるが、料理の甘辛、濃淡、温度等に対する基本的な考え方は次の通り。
◎甘い料理       (黒豆・甘露煮)       やや甘口のタイプ
◎塩辛い料理      (塩辛・塩焼き)       辛口のタイプ
◎辛い料理       (からし和え)(めんたいこ) 辛口のタイプ
◎濃い味の料理     (照り焼き・あら煮)     濃醇なタイプ
◎薄い味の料理     (酒蒸し・かまぼこ)     淡麗なタイプ
◎脂っ濃い料理     (角煮・鶏唐揚げ)      軽いタイプ
◎淡白な料理      (白身魚の刺身・豆腐)    淡麗なタイプ
◎熱い料理       (鍋物・茶碗蒸し)      ぬる燗・燗
◎冷たい料理      (刺身・お浸し・酢の物)   ぬる燗・ひや・冷酒
◎乾いた料理      (するめ・干魚)       ひや・冷酒
◎汁っぽい料理     (煮つけ・鍋物)       ぬる燗・燗

年末年始の何かとお酒を飲む機会も多くなるかもしれないが、これらのことを頭に入れておけば、楽しい<つどい>になると思う。         (つづく) 梶 康子