鍋物
旬の味・なべもの
冬将軍の冷たい風にさらされた身体を暖めてくれるのは、なべものが先ず思いつく。
なべものの鍋は、水炊きはやはり土鍋がすてがたい。土鍋は重いうえに壊れやすく、煮立つまでに時間がかかるが、土鍋特有の雰囲気がかもしだされて、なごやかさが演出される。すき焼きなどは鉄鍋がよく、汁が煮詰まっても、土鍋のようにヒビが入らない。昔は独特に工夫した紙のおなべを売り物にしていた高級料亭があったが、最近は一般の飲食店でも使われているのを見かけることがある。なべものの種類は多数あり一般的に
●すきやき・しゃぶしゃぶ・チリ鍋・寄せ鍋・豆腐鍋・土手鍋・キムチ鍋・牛乳鍋等がある。
★とり鍋 今でこそ鶏は日常の食品となっているが、昔、日本では野鳥は食べても鶏は食べなかった。鶏は日本では古くから飼育されていて、神話の<天の岩戸>では天照大神を岩戸から出す為に、長鳴きどりを鳴かせたりしているし、神とのかかわりがあると考えられていた。鶏は夜の悪魔を祓って、暁のときを告げるトリとして、特別に考えられていた。従って鶏鍋の歴史は比較的新しい。
キジは日本特有の野鳥で古くから狩猟の対象になっていた。近年は乱獲のため減少したので禁猟とされている。
日本では大部分が渡り鳥の鴨は北海道以北の大陸で繁殖し、8~9月頃からやってきて、各地の海岸・河川・池・沼などに群棲越冬し春になって再び故郷に還る。
水鳥には魚を食するものと、穀類を食するものとあって、穀類を食する水鳥の方が、食用としては旨みがあるとされている。
各地自慢の郷土料理にもナベ物が多く、季節の野菜を使って、その土地の工夫を重ねて特色を出している。
★うどんすき
すき焼きとともに、家庭料理の筆頭。折々の季節の野菜や海の幸を入れてうどんと煮る。うどん出し汁にポンズ、もみじおろし、だいこんおろし、きざみネギを好みにより使う。
当甘辛のれん会加盟店のうどんすき元祖<美々卯>は、秘伝の出し汁に10数種類の具を入れて煮ても、濁らないのがあまりにも有名で、庶民的なうどんを高級料理として、家族団欒はもとより、来客接待に利用されている。
★豆腐鍋
当甘辛のれん会加盟店の即席料理<正弁丹吾亭>の豆腐鍋、は京都の湯豆腐とはまた違いすく焼きとともに家庭的な雰囲気は、時の経つのを忘れて楽しくさせてくれる。
東 雲 宣 子