夏の旬

kyuri.jpg 友人に旬のもの以外は殆ど食べないという人がいる。私から言わせればずいぶん幸せな贅沢者である。もともとは病弱なご主人の為に始めたらしく、亡くなられた後は今度は可愛いい孫の為に、僅かな土地を利用して野菜の自家栽培を続けてせっせと励んでおられる。
 
 それは徹底していて、例えば冬に野菜サラダを作ればキュウリが入っていないとか、いろいろあるが、旬のものを食べていれば身体によいと言う信念からご主人の身体を考えての愛情の表現だったのである。

 趣味の集まりなどで、時々野菜作りの話題がでるが、あれ? と思うような人からも話しの輪に入ってきたりして結構盛りあがることがある。かくいう私も仲間の話しを聞きながら先ず手始めに、ネギ・トマト・キュウリを作ってみたが、なかなか楽しいもので昨日と僅かに違うものを感じ取ろうと毎朝楽しみなものである。
 
 キュウリは一本のつるに雄花と雌花が別々に開花し、雌花は花弁の下部に小さな瓜がついているので、雌雄の別はすぐわかる。実のならない雄花は無駄で実の成長の邪魔と考えた私は、雄花を毟り取っていて、大きな誤りを侵していたことも知らなかった。後で教えていただいたのだが。キュウリの雄花はあだ花ではなく、雌花の結実に必要な花粉を送る大切な役目を持っているということであった。
 
 多忙にかまけて、数々の失敗をする私に友人は「貴方には野菜作りはむいてない。」と烙印を押される始末。今では時々お裾分けに預かっている.
 
 新ジャガ、ナス、エダマメ、シソ、梅の実、ゴボウ、ジュンサイ、オクラ、タデ、ミョウガ。
 
★さあー。シソと梅の実が揃うとなれば、梅酒、梅干を作らなくちゃ
 
★エダマメといえば、なにはともあれビール。ボールに入れて水を少しふり、多めの塩を加えてもみ、熱湯でゆでる。緑色のさえたところでザルに揚げ、風をおくって冷ます作業にも思わず力が入る。
 
★ゴボウはキク科に属しキク科共通の芳香を持っている。
 平安時代にはすでに食されており、その後神へのお供えとした古い風習の地方もある。関西では、三種肴の一つとして、お節料理になっている。
 この時期に主婦が集まると、きんぴらゴボウ談議に花が咲く。主婦暦ウン十年ともなれば、それぞれ自分なりのポリシーをもっていて、一歩も譲らない。結局家族の方たちが美味しいと食べてくれるのなら、それでいいじゃないのということで、幕は下りる。
 
★オクラはアオイ科に属する一年生草木。ペクチンやガラクタンなどの成分による特殊な粘液があり、強精食とも言われており、一般的に生のまますりつぶして、トロロのようにして食べる。

 
      東雲 宣子