春の野草

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 春になると、引きこもりがちだった人々も、ハイキングでの摘み草を楽しんだりするが、私達の身近にも見られる春の野草について考えてみよう。

 

● フキノトウ 待ちこがれた春の先ぶれで、早春の香りを運んでくる。ウオーキングの道すがら、他家の庭先に咲いているものを見かけたときは、永かった冬の終りを感じ、心なしかウキウキする。大急ぎで家に帰り、我が家の庭を探し、まだ咲いていないときは、ガッカリしたりする。

 「春の料理には苦みを盛れ」といわれている通り、フキノトウも苦みを持っているが、キク科植物特有のゆかしい香りがある。

 苞の葉はせんに刻んでアクをぬき、スマシ汁の吸い口にしたり、みそ汁の薬味に使う。

● ツクシ スギナの花で、子どもの頃に姉に連れられて土手などにツクシとりに行ったことを思い出す。その時よく姉と議論をしたのは、“ツクシ誰の子スギナの子”と歌っているが、「ツクシの後からスギナが出るのだから、スギナがツクシの子であるのにおかしいよ」後になって、ツクシとスギナは同根で、ツクシは栄養茎のスギナより早く出る、と聞かされた。

 ツクシの袴を軽く洗い、湯がいて、三杯酢、からしあえ、ごま酢あえ、またはいため煮にしたりする。

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● ワラビ 山野に自生するシダ類。地下茎から芽をふくサワラビが、美味しい。

 先ず重曹でアクぬきをし、冷水にさらして苦みをぬく。椀だねの青み、三杯酢の浸し物とか、あえ物にもよい。

● ヨモギ キク科の多年草で、別にモグサ・サシモグサと言う。百人1首(実方朝臣)の“かくとだにえやはいぶきのさしもぐさ さしも知らじなもゆる思ひを”とあるように、 お灸のもぐさはヨモギの若葉からつくられている。

 しかし、ヨモギは何といってもヨモギ餅。それに雛祭りの緑の菱餅である。

葛城 陽子