2016年秋・冬号
のれんメール
のれん28,10-11-12,月号
★ 九年母(くねんぼ)の黄に好もしき見越かな 芹 水(十 月)
味もうまいが、香が非常に高い。木は蜜柑より早く大きくなって早く実が成る。
★ 若夫婦出してやりけり酉の市 虚 子(十一月)
★ ともかくもならでや雪のかれ尾花 芭 蕉(十二月)
<新歳時記 虚子編>より
のれん28、10,11,12月 旬の食べ頃
10月の旬
野菜類が大地の恵みの結晶として出回る。年中市場で手には入るが、やはり旬のものには及ばない。大根、人参、牛蒡、蓮根、自然薯、甘藷、馬鈴薯、里芋、カブ、玉葱、生姜、秋茄子、キノコ類等。
松茸は、庶民の食卓から遠のいて久しい。それに引き換え椎茸は、安価な上に、栄養もあると言うので、日常的に利用されている。
椎茸の胞子には、強力な抗ウイルス性の物質をつくる働きがあって、健康に非常に良いということで、脚光を浴びている。
果物は、柿が出始め、栗が旬となる。クルミも実を結ぶ。クルミには、カルシュウムや鉄分もあって、健康に良いとされている。
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のれん28,10,11,12号 甘辛のれん会
昭和27年(1952)に甘辛のれん会が創立してから、来年で65年を迎えようとしています。戦後のあの大混乱の中、自分の会社、自分の家族を守って生活するだけでも、困難だった時代に、この時だからこそ正しい食文化を伝え、啓蒙してゆこうと、結ばれた創立メンバーの先を見越す、先見の明は素晴らしかったと感嘆いたします。
啓蒙運動をということで、先ず実行されたのが、PR誌の発行です。大久保恒治氏が亡くなられる寸前まで、執筆され、<のれん>誌の、確固たる地盤を築いてくださいました。
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のれん28,10,11,12月 のれん歳時記
1983年故大久保恒治氏の<のれん>誌編集のあとを引き継がせていただいて、その間、至らぬながら、頑張っているうちに、「老舗」の重み、風格、伝統の意味、が少しずつ認識できるようになってきました。何時の頃からか、友人達から、いろんな相談をされるようになりました。
クラス会、婦人会、P・T・Aの会合、時と予算に応じて<美々卯・うどんすき><菱富・うなぎ><すし萬・雀鮨、日本料理><吉野・大阪寿司>洒落たお茶会に<鶴屋八幡>心許したおしゃべり会に<長﨑堂>初釜には<先惷園・銘茶>を紹介しております。
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のれん28,10,11,12月号 ふるさとを訪ねて 道成寺・和歌山県
逃げる安珍を追いかけて、怒り狂った清姫の身体は、大蛇に化身して口から火を噴き道成寺の62段の階段を駆け上り、安珍を探し求めた。寺僧がおろしてくれた釣鐘の中に、安珍が隠れているのを知った清姫の大蛇は、釣鐘にぐるぐると巻きついて、目から血の涙を流しながら、尾で鐘を打ちたたき、口から出る紅蓮の炎で、鐘の中の安珍を焼き殺してしまった。
いわゆる「道成寺」の縁起で、能楽・歌舞伎・文楽・浄瑠璃などの舞台芸術や美術、文学にまでなっている「安珍・清姫」の悲恋物語が伝えられている。
道成寺の62段の石段は、清姫のように一気には登れない。ハアハア喘ぎながらやっとの思いで登る。
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