のれん28,10,11,12号   甘辛のれん会

ws000002昭和27年(1952)に甘辛のれん会が創立してから、来年で65年を迎えようとしています。戦後のあの大混乱の中、自分の会社、自分の家族を守って生活するだけでも、困難だった時代に、この時だからこそ正しい食文化を伝え、啓蒙してゆこうと、結ばれた創立メンバーの先を見越す、先見の明は素晴らしかったと感嘆いたします。
 
啓蒙運動をということで、先ず実行されたのが、PR誌の発行です。大久保恒治氏が亡くなられる寸前まで、執筆され、<のれん>誌の、確固たる地盤を築いてくださいました。

 老舗は、先人より受け継いだ<食文化>を大切に守り、次代に引き継ぐべく大きな責任を負っております。創始者の初志を貫くとともに、それぞれの時代に適した飲食を探求しながら、常に新しいものを創造する意欲と、更に時代を先取りし、業界をリードし続け、尚且つ、立派な伝統と品格を保ち続ける努力を、決して等閑(なおざり)にしていないのです。

 関西を発祥とする伝統文化は多くありますが、中でも、「食」や「味」に由来するものは、我々の生活に深く結びついております。豊かな味覚と伝統は、本当の<うまいもの>を造る上で各老舗にとって、大きな誇りであり、大きな目標でもあります。<甘辛のれん会>
の会員の味が、代々愛され続けているのも、各時代の消費者のニーズに、確実に応えてきたからなのです。

 異なった業種のトップの老舗が<のれん>をかけて<集団>を創り、食文化を守り続けてきたということは、並大抵のことでは出来ない努力の結果に得たものなのです。伝統を守りながら、新しいことにチャレンジし、それも、各老舗が個々にするのでなく、<甘辛のれん会>の行事として、協力して活動してきたことに、大きな意味があるのです。
 1952年1月に、甘辛のれん会を創立したその秋に、大阪・梅田の阪神百貨店に「甘辛のれん街」を設立し、当時としては大きな話題となりました、各老舗の銘品が、一箱の中にセットとして、贈答用として特に喜ばれ、各方面から注目され、話題を集め、。その後、各地に同じようなものができたが、『のれん街』は、その草分け的な存在であり、先駆者としての大きな誇りをもっています。
<甘辛のれん会>の65年歴史の中で、大切に伝統を守りながら、新しいものに絶えず挑戦しながら<のれん>の品位を高めてきました。創立当初のメンバーは、世代も交替しておりますが、若いメンバーの方々も、常に伝統と革新を求め、年長のメンバーと共に頑張る姿に力強い希望を感じています。                  編 集 部