▲旬の味

寒ブリ★マナガツオ  
 マナガツオは年中美味しい魚とされているが、冬の味噌漬は殊に喜ばれます。
 マナガツオは、南日本の海、東シナ海に棲んでいるイボダイによく似た暖海性の魚で体は平ぺったくて、ウロコは取れやすい。もともと外洋性の魚で、産卵期には、内湾にて産卵しその幼魚は3㎝くらいの大きさになって、外海に出て育つ。
 マナガツオはサシミにも、照り焼きにも良いが、塩をあてて、白味噌を少しのミリンでゆるめて、からめて、味噌漬にすると、美味しい。しかし、味噌漬は漬かり加減があり、漬かり過ぎると身が硬くなって、焼いてもこちこちになるので、漬かり過ぎを避ける。

                                
★寒鰤のテキ
 カンブリは寒い時期のブリで、大きく育ったブリは美味しい。大きいブリは切り身で求めるが、あっさりしたのは脊身、脂こいのは腹身で、好みがある。金串を打って焼くか、魚焼き器で焼くか、それともブリ・テキにすると、案外食欲をそそる。
 フライパンに少量のサラダ油またはバターを熱して、ブリの切り身を入れ、ビーフステーキのように焼いて、焼き上がりに、蒸留酒を振り入れ、ぱっと燃やして出来上がり。皿にとって、ワサビ醬油で食べる。
 ブリの頭や中落つまりブリのアラは粕汁に入れると良い。好みにより、酒のカスは、前日に微温湯に漬けて、少量のお酒をたらしこんでおき、これで粕汁をつくる。
                                    
★水菜と霜
 ミズナは霜がおりると軟らかく美味しくなるとされている。ミズナはまたは、京菜という名で、全国で作られている。京菜というには、京都の野菜ということで、昔は京都の南郊の東寺、九条辺りで作っていたもので、アゼの間に水を引いて栽培するので、水菜の名がついた。
 また壬生菜というのは、千枚漬に添えられている漬け菜で、葉に水菜のようなギザギザがない。
                                    
★生麩
 ナマフは本当に美味しいのか? 理屈の上で証明するとすれば、化学調味料は小麦粉でつくられていた。小麦粉をナマフにしてナマフからグルタミン酸ソーダを抽出していたのだから、つまり、ナマフは調味料の原料だから、美味しいというのは、当たっている
 小麦粉を水で練って、澱粉を水で洗い落した残りの麩質分で、中国では13世紀には、すでに麩の料理がさかんに作られていた。
 日本のナマフは、主として、焼き麩に加工されている。        
                                                             東 雲 宣 子