のれん紹介 大阪の駿河屋

【のれんの歴史】
大阪の駿河屋は、天保8年(1837)に京都・伏見の総本家駿河屋から分家し大阪淡路町に店舗を構えたのがはじまりである。
本家の総本家駿河屋は、寛正2年(1461)に岡本善右衛門が山城国伏見船戸庄で菓子製造業を創業したのが起源とされ、当初は屋号を「鶴屋」と称した。天正17年(1589)には、四代目・岡本善右衛門が紅羊羹を創案し、伏見羊羹と称して発売したとされる。文禄3年(1594)、豊臣秀吉の伏見城築城により諸大名が伏見に集まり、これら諸大名の交流により伏見名産の本の字饅頭や伏見羊羹が全国に広まることになる。

《日本ではじめて煉羊羹を創製‼紀州徳川家の御用菓子司に》
五代目・岡本善右衛門は、寒天と砂糖・餡を練り上げた煉羊羹を日本ではじめて創製し、煉羊羹司を称するようになる。慶長14年(1609)創業の地である伏見の総本家を弟の善一郎に取仕切らせて、徳川家康の10男である徳川頼宣の御菓子司として駿府に移住する。元和5年(1619)、頼宣の和歌山移封にともない、五代目・岡本善右衛門は再び頼宣に付き従って和歌山に移り、和歌山藩御用菓子司として開業するに至る。貞享2年(1685)には、和歌山藩二代藩主・徳川光貞の世嗣・綱教の正室として五代将軍・徳川綱吉の長女・鶴姫が輿入れしたことにより、「鶴」の字を憚って鶴屋の屋号を返上し、改めて光貞より「駿河屋」の屋号を賜る。これにより、総本家の伏見店も共に屋号を「駿河屋」に改名したとされる。
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《駿河屋、大阪船場に進出》
本家歴代の店主は伏見と和歌山を行き来するなかで、その中間に位置する商都・大阪に店舗を構えることが悲願であったが、十二代・岡本善右衛門は伏見総本家直属の出店を具体的に計画し、三男の善三郎を分家させ大阪淡路町店の初代店主とした。これが、大阪の駿河屋に起源となる。
                                     
《将軍、大阪の駿河屋の羊羹を食す‼》
二代目・岡本善三郎の代には、大阪の駿河屋は大阪の菓子店のなかでベスト3にランキングされるまでに発展する。蒸羊羹が主流であった上方において、煉羊羹を看板とする駿河屋は、大坂城に勤番する大名・旗本などの武士層から贔屓にされ、幕末に大坂城に入城した14代将軍・徳川家茂や15代将軍・徳川慶喜も食したことが記録に残されている。そして、大阪の駿河屋は大坂城本丸御用菓子司として羊羹をはじめ饅頭やきんとん・干菓子などを大坂城本丸御膳所に納めている。
                              
《宮内省御用を務める‼》
 明治以後は、宮内省御用達として煉羊羹の缶詰を製造し納めるようになる。現在も「宮内省御用 元祖煉羊羹罐詰」と記された看板が伝わっており、駿河屋がはじめて羊羹の缶詰を製造した可能性も考えられる。

「浪花買物独案内」(慶応3年(1867))に描かれる駿河屋・大阪淡路町店

明治・大正頃の駿河屋・淡路町店の外観写真

                           
《現代、そして未来へ》
2021年10月、「百八十有余年の歴史と技術を『いま』のカタチを変え、次の100年へ」をコンセプトに、新ブランド“駿surugaya”を立ち上げる。若い客層をターゲットに店内も有名デザイナーによる洗練された内装に。商品も若い方に食べてもらいやすいように形や味を工夫し、パッケージもモダンな包装に。Instagramを活用して、新商品や季節商品などのPRにも力を入れ、現在では九州や東北からも多くの方が来店されるとのこと。とくに、東京などからのビジネスマンが大阪の銘菓で大阪でしか買えないものをお土産にと探し求めて来店されることも多々あるとのこと。
                              
【のれんへの思い】
6代目店主で代表取締役の岡本全晃氏にのれんへの思いをお聞きした。
「大阪の食文化の特徴として“安くておいしい”が挙げられる。しかし、大阪は豊臣秀吉以来の歴史ある城下町であり、長年の伝統に培われた職人の技によって大切に製造しておられるお店が今なおたくさんある。伝統を大切にしつつ、しかしのれんに胡坐(あぐら)をかかず、そして敷居を高くせず、多くのお客様に親しんでもらえる時代に適した空間と商品を提供できるように挑戦し続けていきたい。」とのコメントをいただいた。

                          
【のれん逸品】
善三郎羊羹~大阪本家駿河屋の初代店主「岡本善三郎」の思いを込めて名付けた羊羹発祥の駿河屋が伝統の技で今に伝える“煉羊羹”“夜の梅”“栗羊羹”は、駿surugayaの看板商品~


                          
★小形羊羹「neri」~若者に大人気の抹茶ピスタチオや瀬戸田レモン・焦がしキャラメル・黒糖珈琲など、煉羊羹司として知られた駿河屋の羊羹革命!~

                           
★どら焼き
1枚1枚、職人が丁寧に焼き上げた生地はきめ細かくシットリ。中にたっぷりと包んだ粒餡は北海道産大納言小豆を使用。

                          
★バスクドチーズケーキ「醍醐」~和菓子職人による技と新たな挑戦~

上質な卵・バターに濃厚なチーズを贅沢に使用し和菓子職人の技を活かした革新的なバスクチーズケーキ“醍醐”は、大阪の駿河屋の商標登録商品となっている。


                             
※お求めは下記店舗にて(取り扱い商品は店舗によって異なる場合あり)
・駿surugaya南森町本店  大阪市北区紅梅町2-17 TEL:06-6354-3333
・駿オンラインショップ   https://www.o-surugaya.com/
・阪神百貨店西宮店 
・松坂屋高槻店
                                  (文責:北上真生)