●老舗紹介  大寅蒲鉾株式会社  <蒲鉾>

明治九年の創業以来、蒲鉾一筋に、老舗の味を守り続けてきた伝統の味は、特撰された材料に、さらに吟味を重ね、丹精をこめて出来上がった大阪の味である。その製品は、高く評価され、贈答用に最適と好評で、贈る人の人柄まで伝わってくるような、そんな気持ちのする風格をもっている。
                         
        お正月のお節料理に、欠かせない物の一つに蒲鉾がある。お歳暮、
        贈り物にも定番の<焼き通し>や紅白のお祝い用等ご用命の程を

                      
<お節>用の蒲鉾は、見た目の美しさもさることながら、中味の美味しさは定評があり、<蒲鉾といえば大寅>、<大寅と言えば蒲鉾>と食通の間で、通説になっている。
 毎年のことながら、年末の<大寅>のデパート、心斎橋本店、その他の各売店は、<お節>用の蒲鉾、その他を求める客で混雑する。以前は、人混みをかきわけて、吾れ先にと前に出る人もいたが、近頃のお客様は、きちんと並んで、順番待ちをしてくださるので、
買い求めやすくなった。

 蒲鉾は、四季を通じて食卓を賑わし、<食>の喜びをもたらしてくれるので、<お節>だけに限らず、年中我々と共にありという感じで、年末だけに限らず、デパートでお客様の行列は当り前のようになっている。私の友人もその内の一人で、デパートへ行けば必ず「お土産よ」と持ってきてくれる。各種のテンプラも合わせて、とても重宝している。
 先日、デパートへ行った際に<大寅>の前で並んでいると、私のすぐ後ろに並んだ女性が、「このてんぷらはどのようにお料理されますか?」とたずねたので、私は「私は、そのまま、適当に切っていただいています。<大寅>の味を大切にしたいですからね。たまに、ポン酢をおとしたり、醬油を少しかけたりします。なにしろ、買ったその日に熱いうちにいただきます」その人は「義母もそう申します。だから、買い物を済ませてから<大寅>へ行って下さいと言います。でも、夕方のこの時間は私にとって忙しいのです。」というので、「どちらの言い分も解りますけれど~~~。毎日のことでもないのだから、そうしてあげたら? お義母さまも言葉に出さなくても心の中では、きっとお喜びになっておられると思いますよ」すると、彼女の後ろに並んでいた60代ぐらいの女性が「そいうことです。そうしてあげなさい」と会話に入ってきて、世代の離れた家族の、暮らし方について三人で話し合っているうちに順番がきて、それぞれ帰途についた。
                      
 蒲鉾は低カロリーの上に、良質の魚のカルシュームを豊富に含んでいる低脂肪な食品で、すりつぶした白身の魚を材料としているので、消化にとても良いとされている。低カロリー・高タンパクの食品として、今後の食生活をリードし、健康面においても大きな影響をもたらすことになる。                                     梶 康子