●食生活の智恵 ▲サ、シ、ス、セ、ソ

1521875_m 昔から味付けの順序は、サ・シ・ス・セ・ソだといわれてきた。今どき、そんなことを言う人も無く、また聞いたこともないが、知らず知らずのうちにしていることもある。
サ=砂糖  シ=塩  ス=酢  セ=醬油  ソ=味噌のことで、いわゆる味付けに、最もスタンダ-ドな調味料の使用法である。
 これらの調味料は、手当たり次第に使えば良いというと、そうでなくやはり昔からの伝承があるのである。因みに同量の調味料を、順序を換えて入れて見て試してみると、微妙に味が違うことが解る。その上で、やはり自分はこっちの方法が良いと、それぞれ好みがあるので、自分流にするのもよい。拘ることもないのである。

 例えば、塩を先に入れたとすると、後から砂糖を入れても、なかなか味つけをしにくい。つまり、昔流に言えば、煮しまってしまうということである。塩で味がついてしまって、他の調味料が浸透しにくいのである。
              
 醬油、味噌は、醗酵食品だから、始めに入れると香りが逃げてしまって真の味を味わえない。これから爽やかな食欲の秋から、暖かい料理が美味しく食欲を満たしたい冬にかけて、<自分の料理>に<愛>を込めて、作ってみたい。
これらを上手く調和したものが、真の美味とされている。日頃、我々が口にするものは、これらのうち、何れか一、二種類のものが含まれている。
 自然の持ち味のみによっても、気付かないだけで、相当複雑な味に接していて、材料に合った調味料が吟味されなければならないということになる、
 ●甘味と旨味が混同されやすいが、甘味はあくまで<甘味>であって、旨味は甘味を加えることによって、旨味を生じることが多い。甘味は、五味のなかでの一つに過ぎないということがいえる。旨味は、総合した美味のことを指す。俗に甘味は植物性材料に多く、旨味は動植物共に通有し主に動物性の材料に多く含まれている。
 ●塩の他に、醬油、味噌等で、塩が主でそれぞれの旨味を出す。
 ●酸味料は、各種の醸造酢を主とし、柑橘などの果実酢を用いるが、これらは酸味の他に旨味を含み重宝される。
 旨味はすこぶる複雑で、その上個人の好みも関係するから、これが旨味だと断定できない。動物性の蛋白質に多いが、昆布・菌類・野菜類にも、独自の旨味を持っている。
 ●酒は、ほとんどの料理に調和し、味醂は甘味料と旨味料を兼ねていると言われている。また材料の臭みをとり、風味をよくするので、煮魚のときも重宝するが、途中で使うのは酒、仕上げは味醂と使い分けるが良い。煮魚の場合、途中で少し酢を落すと身が軟らかくなり、醬油がよく浸み込む。調味料を入れるコツで、出来上がりが美味い。
 ●醬油は、蒲鉾。照焼・煮物。佃煮は濃い口、淡白な煮物・汁物に淡口醬油を使う。
 ●味噌は昔から「味噌汁は、ひと煮立ち」と言われている。        東 雲 宣 子