●旬のハーモニー
▲野菜を食べよう
野菜類が大地の恵みの結晶として出廻る時季になった。地球温暖化による猛暑と災害で、軒並み高価なものになってしまって、その上にウクライナの問題も重なり、家計を預かる主婦にとって頭を悩ますことになっているが、何とか乗り切ろうと、頑張るしかない。
●大根・人参・牛蒡・蓮根・自然薯・甘藷・じゃがいも・里芋・八つ頭・蕪・玉葱・生姜・芋茎(ずいき)・うど・秋なす・初茸・松茸・椎茸等、前半に示したものは、日常食生活に馴染みのものが多い。お節料理の材料にも使われる。後半の芋茎・うどは、嗜好の問題もあり、秋なすは、好んで食べられるが、松茸は、栄養価値も少ないのに高価すぎて、到来物以外は殆ど、庶民の口に入ることはない。それに引き換え椎茸は、松茸に比べて安価な上に栄養もあるということで、何かにつけて、利用される。
椎茸の原産地は、台湾の新高山や、ニューギニヤのスカルノ峰などで、あろうといわれている。椎茸の胞子は、これらの高い山から風にのって、中国へ飛び、日本へやってきた。
文献によると、おそらく、縄文時代、狩猟採集の時代から食べられていたという。古代仲哀天皇がクマソ征伐の為、筑紫に滞在された時、土地の者が香ばしいシイの菌を献上した。これにより、滞在された宮の名を「香椎の宮」としたという伝説がある。
椎茸の胞子二は、強力な抵ウイルス性の物質をつくる働きがあって、インフルエンザやガンなどに 効くと言うので、にわかに脚光をあびるようになった。そんなことを知らなかった昔の人は、椎茸は、栄養があって、良いお出しの旨味があるとして、ちらし寿司をはじめ、巻き寿司などに好んで使われていた。または、ご飯もの・吸い物・鍋料理・煮もの・揚げ物等、料理方法は多い。理論的な根拠は勿論解らないけれど。先人の知恵として、伝えられてきたものを、伝承されてきたのであろう。
もう一つ伝承として、「酒の肴に椎茸はいけない」とされていた。椎茸を食べて酒を飲むと少量飲んでも、ひどく酔ってしまうから、ゆっくりお酒を楽しめないということだった。今は、少しの酒で酔えるのは、経済的だということで、旨味も増すから、わざと椎茸を所望する人も居ると言う。
●十月の果物は、柿が出始め、栗が旬となり、クルミも実を結ぶ。クルミには、カルシュームや鉄分も含まれていて、健康に良いとされている。そしてミカンが出廻り、年末・年始の食卓を彩る。 葛 城 陽 子