青葉・若葉に

WS000006 日本の四季を色に例えたら、春は萌黄、夏は青、秋は紅で、冬は白と答える人が多いそうだ。日本の風物を端的に表現していると思う。

 中国では、春は青、夏は朱、秋は白、冬は玄(くろ)となる。春は人生の青春を位置づけ、夏は太陽で、秋は24季節の白露(はくろ)、冬は太陽に遠くて暗い。と、日本の絵画的発想に比較して、多分に思想的、哲学的な発想があるようだ。気候・風土の相違からくる国民性の違いからくるのだろうか?。

 この季節、日本列島は、青葉・若葉の季節に入る。夏は青なのである。日本的、絵画的な発想から、日本料理は素直に季節を取り入れて、春に萌え出た野菜や山菜の緑は、湯がいて、浸し物にする料理が多い。
 夏は、楓とかの緑の葉を料理にあしらい、風情を添える。和菓子では、水羊羹やくず餅等をさくらの葉で包み、朴の大葉には、飯を盛る習慣が残っていたりする。
 秋の紅葉は料理にも菓子にも用いられて、その姿や色を愛でる。
 冬の雪は文様にも取り入れられ、それらを象徴した料理や菓子は、懐紙を懐にしのばせ、ついつい茶室へといざなう。

●ネマガリダケが5月~6月にかけて、たくさん出回る。中部山岳地方から東北の冷地に群生し、根に近い部分が曲がって、斜めに生え、生長するにつれて、上向きになるので、曲がったタケノコというのでその名がある。

 なぜそうなるのか? ネマガリダケの産地は、何れも雪が深く、冬になると重い雪をかぶるので、雪の重さに押し倒されて傾斜するのか、或いは、雪の重さに耐える為に、根曲がりの姿勢で、始めから出るのか? 何れにしても雪に対する自衛からである。

味も風情も細やかであるが、一般のタケノコが、出回った後に出てくるので、どうしても新鮮味に欠けるところは否めない。

 雪に耐えただけに、弾力性があって、これでこしらえた籠やざるは、丈夫で長持ちするという。
                             東 雲 宣 子