のれん28,10,11,12月    のれん歳時記

%e3%81%ae%e3%82%8c%e3%82%931983年故大久保恒治氏の<のれん>誌編集のあとを引き継がせていただいて、その間、至らぬながら、頑張っているうちに、「老舗」の重み、風格、伝統の意味、が少しずつ認識できるようになってきました。何時の頃からか、友人達から、いろんな相談をされるようになりました。
クラス会、婦人会、P・T・Aの会合、時と予算に応じて<美々卯・うどんすき><菱富・うなぎ><すし萬・雀鮨、日本料理><吉野・大阪寿司>洒落たお茶会に<鶴屋八幡>心許したおしゃべり会に<長﨑堂>初釜には<先惷園・銘茶>を紹介しております。

飲み会に<アサヒビール><サントリーのウイスキー・ハイボール等>灘の銘酒<日本盛><大関><菊正宗>を指名し、私なりのうん蓄を傾けた講釈も大好評。

その席で、料理の話に花が咲き、それがあるだけで、おせち料理の品格が増す<大寅>の蒲鉾、<ヒガシマル>の「うどんだし」は、うどんの「だし」だけではなく、色々な使い道があることを教えてあげる。例えば、昆布とかつおからひいた、おみおつけの「だし」に少し「うどんだし」を加えれば、また異なった風味が出て、若者に喜ばれるとか、Etc。

持ち回りの主婦の集まりの時は、自家製のお味噌に合わせ味噌として<米忠>のお味噌を入れてみたり、御祝の品とか、引き出物を相談されると、事情に応じて<小倉屋山本>
<をぐら昆布><松前屋>の昆布、<大阪の駿河屋>の練羊羹、紅白饅頭。<鶴屋八幡>の和菓子、<長﨑堂>、のカステーラ。大阪土産はもちろん<あみだ池大黒>のおこし・福の花は自信をもってお奨めしています。必ず感謝されて、お礼の言葉をいただき、また、お互いに絆を深めております。
  
 <のれん>とは? 広辞苑に目をやると、『暖廉』(古くはノンレン・ノーレン)とも。とあり、①軒先に張って日よけとする布。もと禅家で冬季の隙間風を防ぐのに用いた垂れ幕の称。江戸時代以降、商家では屋号などを、染め抜いて商業用とした。②暖廉名の略。③一般に、部屋の仕切りに垂れる短い布。④店の格式や信用。⑤老舗としての多年の営業から生ずる無形の経済的利益。仕入先・得意先・営業上の秘訣など。とあります。
 <甘辛のれん会>の<のれん>は、④であり、⑤であります。加盟店各店の<のれん>は、それぞれ工夫をこらしてあり、店に似つかわしい<のれん>が、各店独特の共通した雰囲気を持っていて、重厚な老舗の品格を表現している。
 <のれん>は、その店にとって、大切な『顔』になってゆくのです。    梶 康子