故郷を訪ねて 出雲大社
出雲神話や縁結びの神として知られる出雲大社は、福の神の大国主命を祀っている古社である。
「古事記」や「日本書記」によると、大国主命による国譲りが行われた後、天照大神が出雲国多芸志の小浜に宮を築かせて、子の天穂日命に奉仕させたのが、その起源ということである。
平安時代の「延喜式」によれば、名神大社に列せられ、この国一の宮とされ、信仰を集めてきた。実際この地の人々の出雲の神様に対する信仰は篤く、何か良いことがあれば「これも出雲の神様のお陰です」と言う。
島根県の人々は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらい雨の多い地方なのだが、私が行った時も天気予報では、雨と言われていたのだが、元旦の朝は晴れ渡ったお天気になり、美しい宍道湖が目の前に広がっているのをホテルのロビーより眺めて、土地の人々は「出雲の神様のお陰です」と喜び、感謝しておられるのを目の当たりにみて、頭の下がる思いをしたことがあった。
出雲の神様が、どうして縁結びの神様として全国的に崇められているのか? その一つは、祀られている大国主命の正妻須勢理毘売との結婚に、父親である須左之男命が反対して、様々な試練を課した。大国主命はそれらを乗り越えて、二人は結ばれた。という由縁ある神話による。また、これも神話にある、須左之男命と櫛名田比売との結婚。この二つの結婚から、縁結びの神様といわれ、信仰を集めている。
境内は総面積は79,000㎡もあり、先ず八雲山をバック、にした堂々たるその姿は美しくも頼もしくもあり、荘厳そのもので、参拝者を感動させずにはおかない。
社殿は大社造りという独特なもので、日本最古の神社建築様式を伝えており、伊勢神宮の神名造りと共に、日本を代表する神社建築である。
主な祭事は、全国から八百万の神様が集まられる、神迎祭が10月10日の夜に行われ、延々長蛇の列が「しゃぎり」をにぎやかにはやしながら神様方を本殿までお迎えする。その時は神社の19の扉が全て開かれ神様方の宿となるそうだ。この他、5月の大祭礼や11月の献穀祭も大勢の参拝者で賑わいを見せる。
祭神の大国主命にちなみ年間を通してあまたの婚礼が行われている。また、大国主命は別名大国様で知られているように、「福の神」としてもよくしられていて、広く信仰されている。
葛 城 陽 子