夏の食べごろ
★七夕にそうめんを食べる風習は、室町時代に生まれた。
そうめんは、索麺(さくめん)の音便、素麺と書くよりは、索麺のほうが正しい表現であるが、普通素麺で通っている。
冬の極寒製の手述べそうめんが、高温多湿の梅雨期に倉の中で。<汗>を流したのが新そうめん。2年寝かせたのが、<ヒネ>で、そうめんはヒネがおいしいといわれていて、贈答用に使われるのが、ヒネで、三年以上経ったものは、まずいという人もある。
この時期は、何と言っても、<冷そうめん>。ゆがいてナスビと煮たり、たまにはニューメンにするのもかえって食欲を誘うこともある。
そうめんのダシ汁は、市販のものが、でまわっているが、それも結構良質のものも多いが、たまには、手作りもいかが? 醤油3分の1カップ、みりん3分の1カップ、水1カップと3分の1カップ、カツオ節10グラムをつけ汁の基本として、エビの干したのや、シイタケ、コンブを好みに入れて、その家独特の<おふくろの味>を味わうのもいかが?
★風呂上りのコップいっぱいのビールは、どれほどノドをうるおしてくれるか。突き出しに青々とした枝豆は、最もオーソドックスなもので、古くからなじみのものである。
枝豆を青く茹で上げるには、洗った枝豆を、塩をよくまぶしつけて、うぶ毛をとり、沸騰した湯に入れ、ゆがいたら、すぐ冷水にとると、美しく青々と仕上がる。
★あっさりとした豆腐も夏のもの。冷ややっこはもとより、豆腐料理は、食卓をにぎわす。昔から、豆腐料理は、料理する直前まで、水につけておくこととされている。
★色よく漬かったキュウリやナスビの漬物は、適度に食欲を誘う。
家族が、食卓のものを喜んで食べてくれると、作りがいがあるというもので、私も、ヒマを見つけては、せっせ、せっせとヌカ床をかきまぜる。
何故、ヌカ床をかき混ぜると良いのか? 漬物歴ン十年というベテランの友人に聞けば、なんと「なぜといわれても困るが、混ぜないと床がダメになるし、昔からいわれていることだから。それに、手もツルツルして気持ちが良いわよ。」という返事が返ってきて、大笑いしたことがあったが、混ぜることによって、乳酸菌や、酵母の働きが、よくなって、独特の香が出て、旨味を増す。ということを傍にいたグループの友人が教えてくれた。
真夏のヌカ床は、どうしても水っぽく、酸っぱくなるので、水分をお玉で取り、ヌカと塩を足して、卵の殻を細かく砕いて入れると、カルシュウムが乳酸を中和して酸っぱさがなくなる。と別の友人が教えてくれた。 東 雲 宣 子