老舗紹介 ダイジェスト

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 6月は、結婚式、7月は、お中元、8月はお盆・里帰り、9月は連休、お彼岸、秋の行事、行楽、スポーツの秋、結婚式と何かと追われるような忙しい日が続きます。そういう時は、ありきたりの間に合わせのものでなく、心に残る大切なものをお使い下さい。
各店が、持っている、受け継いできた伝統に、時代のニーズを先取りし、その店ならではの品格と、技術の上に成り立った製品は、「やっぱり他店のものとちがう。」と、実感していただけると、確信いたしております。今回と、次号に亘って加盟店を紹介させていただきます。

▲ アサヒビール株式会社
 家族揃っての楽しいひと時、アサヒビールは、そんな食卓を演出する。
 外で食事をして、暑い折からビールでも飲もうという従来のパターンにあいまって、ビールそのものが、もっと身近な存在になってきている。もはやそこにビールがあるのが当たり前。アサヒビールはそんな中にあって、常に業界をリードし、シェアを誇っている。<アサヒスーパードライ>をコップに注いで飲んでいたら、知人は「カンのにおいがタマラン」とカンごと飲むので驚いたものだ。夏の贈り物に最適。

▲菊正宗酒造株式会社
 万治2年(1659)摂津の国兎原群御影郷(現在の神戸市東灘区御影)において創業。
350年に及ぶ現在までたゆまざる研究で、その時、その時の時代のニーズを先取りし、日本酒のトップメーカーとして、ブランドを守り続け、常に業界のトップをゆき、リードしてきた。品質本意、辛口一筋に押し通してきた「菊正宗」は、通をして、「キク」と言わしめているほど、日本酒としての面目を誇っている。
 小瓶に入った冷酒は、女性でも飲みやすく刺身とか、テンプラ、何にでも合う。

▲ヒガシマル醤油株式会社
 寛文6年(1666)兵庫県龍野で、淡口醤油誕生。時の藩主・脇坂安政は、他国で生産していない淡口醤油を<国産第一の品>として、生産を奨励し、醤油産業の保護育成を図ったので、龍野が、淡口醤油の産地として形成されていった。淡口醤油は、濃い口醤油を薄めただけでは出来ない。業界1の原料・技術、徹底追求した品質にある。
また「うどんスープ」粉末つゆの素は、サットお湯に通すだけで、本場関西風のだしが手軽に味わえる。寄せ鍋、おでん、炊き込みご飯、茶碗蒸し、出し巻き卵等にどうぞ。
                             
▲菱富(うなぎ)
 古い暖簾に培われた伝統の技と味。江戸風蒲焼を看板として、大阪風蒲焼の地にあっ
て、110有余年。うなぎ一筋、東西問わず多くの顧客に愛されてきた。蒲焼の真価は<タレ>にあり、菱富の<秘伝のタレ>は、創業以来一度も絶やすことなく今日まで、大切に受け継がれてきたものである。くつろぎのひと時を演出する憩いの食空間に特にこだわり、1階は昼食を手軽に楽しめるようにテーブル席。2階には、少人数の会席に最適の純和風の粋な小部屋や、各種宴会用の座敷は、落ち着いた雰囲気がある。

▲吉野(純大阪寿司)
 創業天保12年、大阪寿司一筋に頑固なまでに、ひたすらこだわり続けてきた。
大阪寿司の代表は、<箱すし>である。押し型にシャリを入れて、その上に小鯛、穴子、椎茸などを並べ、軽く押して仕上げる。
「大阪寿司は、飯に六分の味」といわれるくらいに、タネ以上に寿司めしに重きをおいている。米、だし昆布は、もちろん最高級。伝統の味は、他の追従をゆるさない。
 今後も<吉野>によって、大阪寿司は、守り続けられてゆくだろう。

 
▲株式会社 鶴屋八幡(御菓子司)
 元禄の頃、大阪高麗橋に店を構え、<摂津名所図会>や<東海道中膝栗毛>など数々の文献に残るほどの、隆盛を極めた<虎屋大和藤原伊織>に永年奉公していた、今中伊八(鶴屋八幡初代)が、虎屋が、閉店の後主家と贔屓筋から開業をすすめられ、文久三年、職人達とともに高麗橋に暖簾を掲げた。屋号は、初代自宅庭に鶴が巣を作った瑞祥と、虎屋伊織に原材料を納めていた八幡屋に、支援を受けた恩を忘れまいと、八幡と名付けた。人と和菓子の出会いを大切に和菓子の食文化に精進している。

▲株式会社 ちもと(江戸菓子)
 食文化の発達した大阪にあって、江戸菓子をつくり続けた松本繁は、人柄、判断力、行動力に優れ、今日の<ちもと>を築いた。ちもとの製品は、四季折々に大切に造られる思いやりが、じーんと伝わってきて、深い味わいがある。厳選された材料と、丁寧に仕上げられた技に真心がにじみ出て、食べてしまうには、もったいないような愛しさを感じる。松本繁氏は、大戦後間もなく、食文化を守り、啓蒙しようと、各種老舗が集まって、甘辛のれん会を立ち上げたメンバーの一人である。

 ▲株式会社 先春園(銘茶)
 大阪で現存する茶舗では、一番古い歴史を持っている。創業は、文久3年(1863)。先春園の屋号は、初代源之助の友人の学者が、「中国の明の時代に皇室の茶園があって、先春山といった。その名を拝借して先春園と改めるがよい」と勧めたことによる。
 食生活の洋風化で、お茶離れをしていると、ある時期いわれたこともあったが、健康に良い要素が多く含まれていることで、見直され、贈答品ランクの上位を占めている。         先春園のお茶は、自然の香と味が、心を癒し、顧客の日常生活にすっかり馴染んでいる。
 

▲小倉屋 株式会社(こんぶ)
 創業嘉永元年。昆布一筋。今も昔も変わらぬこの味。浪花の味。伝統に輝く重厚な味。たゆまなく研鑽された信頼の技術。時代のニーズに敏感に反応する柔軟性。これらをうまくマッチさせて、をぐら屋は、ひたすらに昆布をつくり続けてきた。昆布の旨さを、全部出し尽くしているのも、老舗ならではのことである。
 昆布には、とにかく日本人に不足しがちなカルシュウム分や、甲状腺ホルモンに不可欠なヨード分が多く含まれている。昆布はお祝いごとに縁起物として喜ばれている。

▲株式会社 長崎堂(カステーラ)
 大正8年の創業以来今日まで、時代は移り行くとも、ひとりでも多くの方々に、喜ばれる菓子作りにとっての良心は変わることはない。先人達によって培われた歴史と伝統、そして老舗の精神は、カステーラをはじめ、多彩な洋菓子の数々に受け継がれている。基本はいうまでもなく、伝統の手づくりの味である。その手づくりの味を、オートメ化された製造ラインの中に取り入れて、味を決める肝心なポイントは、人の手で大切に作り上げられている。その為に柔らかい、奥深い旨味が、醸し出され、人気を得ている。

●老舗とは、一体何なのだ? 1983年に甘辛のれん会「のれん」誌の編集をさせていただくようになって、ずっと考え続けてきた。<老舗>と言えば、近寄りがたい威厳を持っているのを感じていたが、何処の主人(あるじ)も取材に行った私に快く接してくれて、ホットしたのを忘れることはできない。
 老舗とは、代々受け継がれた伝統を守るだけでなく、常に技を磨き、時代を先読みし、業界をリードし、尚且つ次世代に引き継ぐ、大きな役割がある。製品に風格が、備わり、その店ならではの<のれん>の重みが加わり、他にはない独特の品格を醸し出す。2度食べるのを、1度にしてでも「ほんまもの」を食べたいという魅力を持っているのが、老舗の味である。顧客も代々受け継がれている。            梶 康子