伝統の食文化 ― 正月とお餅

kagamimochi.jpg 行事とお餅は古来より深い関わりがある
先ず正月に神仏に供えるものは、俗に「おすわり」「おそなえ」と称え、もっぱらしきたりとして、大餅と呼ばれる大きなものを神徳餅と称したが、後にこれを鏡餅と称した。

 正月11日に鏡餅を割るのを祝って鏡開きといい、正月の賀儀とした。
 正月の「おかがみ」をはじめ、多くは丸いもので、雑煮にしても西日本では小形の丸餅をそのまま使用するが、東日本ではのし餅を適宜に切った切餅を用いる場合が多い。

 しかし、第2次世界大戦以後の急激な経済成長に伴い、転勤その他諸般の事情で故郷を離れてそれぞれ移り変った人々が多くなり、その人達が、その地域にどのように馴染んでいくかによって、昔程東日本・西日本云々とかは、はっきりしていない。

 大阪生まれ、大阪育ちの私自身にしても、白味噌仕立てのお雑煮しか知らなかったのが、結婚して始めてのお正月に、関東育ちの義母が作ってくれたお雑煮は、清汁仕立てに切餅だった。清汁仕立てといっても、すまし汁に入っているのは、ほうれん草と切餅だけだった。これにはビックリ仰天。義母は私の反応に驚いて、翌日に大阪風のお雑煮を作ってくれた懐かしい思い出がある。以後は関東風にしたり大阪風にしたりしている。

 お餅の食べ方にも種種あり、醤油煮、小豆煮、付け焼きなどの他に<安部川>等がある。

 お餅の保存法として、昔は、水に浸す<水餅>、切って干す<かき餅><あられ>などがあるが、<水餅>にしなくても、今は冷凍にしておけば、カビも生えず、軟らかく食べられる。

 お餅は正月、節句、祭、出産、年祝、建築祝その他慶賀を表すべき折々にお餅を搗いた。

  東 雲 宣 子