老舗物語 ― 清酒

img2_photo02.jpg<灘 御影>日本盛 <灘 西宮>大 関
<灘 御影>菊正宗 <奈  良>長 龍

ビール・冷酒に親しんだことのほか熱かった夏もやっと秋へと移って行く。『酒は静に飲む季節』―じっくりと酒を味わいながら、チ、チ、チと鳴く虫の音に耳をかたむける。

 お相手は愛する人、親しき友、酒を酌み交わし、話に花が咲く。日本酒がもたらしてくれる幸せのヒトコマである。私は料理に合わせて酒類を選ぶ。猛暑日であろうが、お刺身とか日本料理があると「あー。お酒が飲みたいわー。冷酒よりもカン酒がよいわー。」と思う。なんとなく落着くのである。

 日本酒は、年酒であることと、淡白な味により醸造にも、保存にも一層複雑な技術と微妙な心くばりを最も必要とする。

 培われてきた技・秘法はもちろんのこと、時代を先取りするスピリットで、若者達に愛され、外人達にも愛好者を増やしている

 本来日本酒は、冷用されていたが、それは祭儀に用いる神酒をはじめ冠婚の儀礼・本膳式などの場合、カン酒を用いないとされている。それではいつの頃から、カンをするようになったのか。

 平安時代の文献に、酒のカンは、9月9日から3月2日と記されており、天長2(825)年10月嵯峨上皇が、交野ヶ原に遊猟の際、供奉の大臣が、カン酒をすすめて賞味されたとある。由来「カンは人肌」といわれているが、季節等にもより微妙に変る。

 年末年始のご贈答や会合などに、、常に業界をリードし、伝統を守り続けて今日までにいたっている、わが甘辛のれん会の誇るべき上記のメンバーの品々をご愛用のほどを。

    梶 康子

 ※注 各メーカーに関しては次号より順次ご紹介の予定