食文化の伝承 ― お弁当

200703_01.jpg 春休み、ゴールデンウイークの頃になると、お弁当を持って出かけてみたくなるものだ。こういうとき主婦は、現地で、何か買うとか、レストランで外食するとか楽をしようとする。然し、夫や子ども達は「お母さんのお弁当がいい」と、ねだるので久しぶりのおめかしどころか、5人分のおむすびと卵焼き等をつくることになる。子ども達は学校へ毎日お弁当を持っていき、我が家は住いと工場が共用だったので、夫は朝、昼、晩と私のつくる食事を食べているのに、尚且つお弁当が良いというので、少々うんざりしながら、弁当造りをするが、行き先の海や山の空気をたっぷりと吸いながらのお弁当は、自分の造ったものでありながら、とても美味で、幸せをじっくりと体感したものだった。

 友人に話したら、ご主人は、やはり奥さんのお弁当がよいという。結局そういうことが、幸せに繋がるのでしょうねと納得しあったことがあった。

 弁当の定番は卵焼き、ウインナーソーセージ、梅干、塩昆布、ゴマ、のり、さけの塩焼き、芋類の煮つけ、小魚の佃煮類、野菜とかを繰り返し使っていたが、子ども達もそれぞれ独立しお弁当を造らなくなって久しい。

 たまたま、嫁が体調を崩して入院し、孫達のお弁当造りのお鉢が私に廻ってきた。嫁にアドバイスされて、お弁当造りも様変わりをしていることを認識したのである。

 そう言えばテレビで、可愛い幼稚園児達のお弁当のコマーシャルが放映されていたが、最近はお弁当造りに無関心だったので、聞き流していたけれど、冷凍もので、いろいろな種類のあることがわかった。1週間くらいは便利だし、早いし、珍しさもあって、それらを利用していたが、やはり私式のお弁当に少しずつ替えながら、様子をみていたが、孫達は「お美味い」といってくれて、お弁当箱は毎日空になっていて、ほっとしたものだ。

  東雲宣子