老舗歳時記  株式会社松前屋

松前屋
           
 味にうるさい大阪・心斎橋で昆布と向き合いはや100年以上。松前屋は時代に柔軟に対応しながら、人々に愛される味を届けてきた。受け継いだ技術で、より良いものを追求する姿勢は、時に伝統の枠を飛び越え、驚きや感動を生みだす。
 毎日の食卓に笑顔を添える品から、人生の軌跡を彩る逸品まで、<松前屋>の「伝統と革新」の味を造り続けている。

●明治45年  <松前昆本舗>創業。
●大正 6年  <心斎橋>へ出店

●昭和 5年  天皇・皇后両陛下の天覧を賜る。
●昭和12年  名古屋・松阪屋へ出店。順調に事業が伸びる。
●昭和14年  初代社長が他界。
●昭和16年  太平洋戦争の戦時下になり統制経済で、社員は戦地に召集され、終戦間際に店が
        焼かれ、事業運営ができない状況となる。
        二代目社長松村アヤメ(現社長の祖母)就任。
●昭和25年  株式会社組織にする。松前屋株式会社。
●昭和29年  「とこわか」が完成。漢字で「常若」と書かれ、神社神道にある言葉で、「不朽
       の名作でありたい」との願いから名付けられた商品である。
        ◎農林大臣賞・水産省長官賞・各地知事賞受賞。★由来通り50年を超えたロング
       セラー商品となる☆「太白おぼろ白波」が農林大臣賞受賞。
●昭和36年  大阪住吉区に新工場を建設。増産体制に入る。
●昭和41年  「汐ふき とこわか」が農林大臣賞受賞。
●昭和51年  「汐ふき 古登富貴」が農林大臣賞受賞。
●平成 3年  「松ケ枝」発売。
●平成14年  「柚子風味うなぎ那智黒煮」発売。
●平成17年  「とはに」発売。
            
 昆布一筋の松前屋がなぜ「柚子風味うなぎ那智黒」なのか? <和食の基本>を支える昆布に、最も造詣の深いメーカーだからこそ、昆布だしの凄さを知ってほしかったからだという。
うなぎを炊く時に、「これでもか」というくらい思いつきり一等級の<昆布>を使い、長年の昆布作りの経験と秘伝の技で仕上げた。うなぎは<白焼き>にして余分な脂がなく<さっぱり>としている。食文化の根源を支える<昆布の松前屋>だからこそなし得たことなのだ。手軽に家庭で「うなぎ」を食せるというので好評を得ている。
                                    梶 康子