花に寄せて ― 鉄線<テッセン>・クレマチス
娘が祖母の白寿の九十九歳誕生日に<テッセン>の鉢植えをプレゼントをした。その祖母も二年前の百一歳誕生日を前にして身罷ったが、<テッセン>は今年もぼつぼつ蕾をつけはじめている。鉄線だなんて固い名前がついているが、実物は気品のあふるる紫色、白色、華やかなピンク色など、名前とはうらはらで、三月頃から比較的長期間楽しませてくれる。
祖母はもともと園芸が好きで非常に喜び、次々に咲くのを、毎日楽しみにしていてその都度知らせてくれた。祖母亡き後も咲き続ける<テッセン>にどうしても祖母の面影が重なる。
<テッセン>は、キンポウゲ科クレマチス属で原産地は、地中海沿岸、中国、日本で、別名クレマチスという。
祖母の<テッセン>は紫色で、品格のある上品な雰囲気を漂わせている。どちらかといえばうす紫で、何かを語りかけたいような、遠慮がちで、それでいて芯のある美しさを感じる。
園芸の書物によると、中国原産の鉄線と日本産の風車などがあり、この二つのベースに交配した改良品種がクレマチスである。この2種は古くから有名であるが、交配種が、多くなり、この2種を鑑別するのは困難だということだ。