●行事と食文化 2

22319472_m◎栗名月  十三夜は、栗めし、ゆで栗を月に供えた。栗は古来から重要な食品で、干し栗も大切な保存食だった。勝栗は干し栗をウスで搗いて、鬼皮と渋皮をとったものだが、カチと言う言葉が、勝に通じるというので、神への供え物や、祝儀に用いられる。
 縄文遺跡から栗の炭化片が発見されているから、日本に早くから自生していたのを、縄文人が食べていたと推測される。山の木の実を食べていた時代の人々にとって、栗は最高に美味しいものだったと思われる。
 栗と言えば<丹波栗>が有名で、用明天皇が行幸の際、大変気に入られて、記念に栗の皮に爪痕をつけられた。それからは、その木になる栗の実は全て爪痕があったという。
 栗は煮ても、焼いても美味しく、菓子などにしたら最高級品となる。
                          
◎仲秋の名月のお供えもの  陰暦で秋の三カ月の真ん中という意味で、中天高く美しく輝く月を賞でて、薄(すすき)の穂、里芋、栗、団子等を供えてお月見をする慣わしがある。
 平安時代の殿上人たちは、月見の宴を催して歌を詠み、管弦に酔いしれた。
 ススキは「ハギ・キキョウ・ナデシコ・オミナエシ・クズ・フジバカマ」と、共に秋の七草の一つで、イネ科の多年草で各地の山野に群生し、月明かりにそよぐ様は、心に響く風情があり<もののあわれ>をかきたてる。
                          
◎敬老の日  高齢の人への尊敬と福祉、長寿を祈り祝う。
 高齢者の食生活は、同じ家族同士でも難しく、高齢者の為だけわざわざ、三度三度の毎日の食事を用意するのは困難なことである。
 施設へ入れば、栄養の配分、カロリー計算、塩分、糖分を抑えた専門家の献立で、至れり尽くせりであるが、一般的な家庭ではそうはいかない。
豆腐・納豆・魚介・肉類で、動物、植物タンタンパク質。緑黄色野菜のビタミンと繊維は、栄養吸収と整腸、ガンの予防に役立つ。海藻類シラス干し、牛乳のカルシュームは、イライラと骨折を予防するといわれている。柔らかく食べ易いように、細かく刻んだりの気配りが必要で、食べすぎないように<腹八分>が良い。
 独居の高齢者が一番大変で、周囲の者たちのあたたかい見守りと協力が必要である。
                               
◎紫蘇  各家庭で梅干しを自家製するのが多いが、紫蘇を使うことが日常的で、あるがその他の使用法について考えてみよう。
 中国原産の一年生草木。葉も実も食べられる。青紫蘇と赤紫蘇があり、栄養成分としては、青紫蘇が優れていて、カロチンも赤紫蘇の三倍あり、目を美しくするという説もある。
★紫蘇の効用は、*魚肉の毒を消すということで、刺身に添えられる。 *葉をもんで汁をつけたり、葉を直接はりつけてもよく、止血の効がある。*生の紫蘇の実をすりつぶして用いると痰をとる妙薬になる。 *紫蘇の葉を煎じて飲むと風邪に効く。脚気にも効く。
*紫蘇の香気は<ベリルアルデヒド>という成分が、防腐力・防黴力があり、梅干しに色をつけるが、同時にカビを防ぐ。 *古来、<ノボセ>を引き下げ、血液の循環を良くし、冷え得御除くと信じられてきた。 *漢方では葉、実を精神安定の薬としていた  *残った茎を細かく刻んで陰干しにし、風呂に入れると良い。袋に入れて水のときから湯舟に入れて置く。・冬にしもやけ・神経痛・リューマチ・便秘症・低血圧症に良いとされている。
◎食用として  *紫蘇巻き *紫蘇飯 *紫蘇酒 *紫蘇の実。これは、夏にたけて総状に咲いた花が実になった頃、5㎝くらいに切った穂紫蘇がサシミやアライのツマにのっているのは、手のひらにとって、パンと一つ叩いてから附け醬油の中へ入れると、香が高くなり、また充分実ったのは、佃煮・塩煎り・塩漬にすて卓上常備の少菜にしていくと便利である。
古来より紫蘇は多方面に利用されていたが、今はそれほどでもない。   東 雲 宣 子