●旬のハーモニー

24975133_m▲肉類を食べよう
 肉類といえば、鳥・獣・魚介等すべての動物性の肉類を指すが、古来日本では、とり・魚を常食していた関係もあって、獣肉の場合を肉と呼ぶのが通念となっている。
 肉食是非の論議は、しばしば報じられているが、しょせんは偏向しないことということである。問題は主として実行方法にあるのだろう。
 最近よく言われることは、高齢者は肉類をあまり食べないことを指摘されている。身体に必要な蛋白質だから、適量を摂取することが望ましい。

★牛肉  わが国では、長く家畜を食することがはばかれていた。天武天皇の四(676)年に、ウシ・ウマ・イヌ・ニワトリと人間に似ている猿の肉を食することの禁令が布告された。ということは、それまでは、食されていたのだろう。
 聖武天皇の天平九(737)年に一カ月六回の殺生を禁じ、同十三年に牛馬は人に代って勤労し、人を養うものとして、特に禁令を強化した。仏教の影響と思われる。
 十六世紀の天文年間に、ポルトガルのキリスト教の宣教師の渡来により、牛肉が食され始めたが、江戸時代にキリスト教が禁止されると牛肉食も自然停止された。
 幕末以降、明治になってから再び食された。明治五(1872)年一月から宮中でも「自今御肉食遊ばさるる旨」の御内定があったという。
 本格的に日本人が牛肉を食するようになったのは、昭和時代の第二次世界大戦以降の食糧難を経て、高度成長期になった頃からだろうか? 世界的にはフランス産の肉が有名であったが、和牛がそれを凌ぐといわれる。
 最も定番はスキヤキ、肉じゃが、肉丼、お好み焼き、焼きそば、ステーキ、牛カツ、その他あらゆる料理に使用されている。
                         
★牛乳  蛋白質、脂肪、乳糖、灰分などを含む上、ビタミンA・B・Cをも含み、乳児栄養分として母乳に代用される他、大人の滋養飲料としてまた各種の料理にも重用される。牛肉食を禁じていたインドでも牛乳は古くから用いられていた。仏教のいわゆる「五味」が、牛乳製品であるという。牛乳から精選加工された、無上の醍醐味は今のチーズに当たるといわれる。
 日本でも七世紀孝徳天皇の大化時代に呉の善国が牛乳を献じたので大和国薬使の乳長の職を授けられたという。
 10世紀平安朝時代以前の記録はあるが、その以降は中絶していたらしいが、、江戸時代後期の18世紀に、11代将軍徳川家斉が、インドの白牛を房州嶺岡に牧養繁殖させ、乳を搾り牛酪を作って用いた。水戸の烈公も弘道館内の医学舘で牛を飼った。
 普及して需要を増したのはやはり明治以降で、乳汁の他、バター、クリーム、チーズ、煉乳、粉乳、乳糖、乳酒の原料で用途は広い。                                   
                                    東 雲 宣 子