旬のものを食べて、抵抗力を身につけよう。
●十月 うなぎ・下り鮎(名残の鮎を「さびあゆ」とも呼ぶ)・しじみ(寒さに向かうにつれて美味しくなる)・大根・蓮根・栗・柿・椎茸・くるみ。
●十一月 秋刀魚・鯖・鮭・かじき・牡蠣・すっぽん・牛肉・葱(ネギ)・大根・ミカン。
●十二月 新巻き鮭・鮪・鱈・かれいひらめ・海鼠(ナマコ)「冬至ナマコ」・鮟鱇(あんこう)・白菜・干し柿・柚子・大根。
★大根 秋が深まるにつれて、益々旨味がのる野菜の代表に大根がある。
大根には、スズシロ、オホネ、カガミグサなど古い呼び名があり、御所言葉では、カラモノとも言う。カラモノと言うのは、やはり唐から渡来したことを意味する。
大根には、色々な食べ方があって、其の成分は言うまでもなく、ジアスターゼなどの含有が証明されて以来、大根の真価が求められている。
味のよく沁み込んだ、アツアツの炊きあがりの熱いのをフウフウふきながら食べる、フロフキ大根は、寒い頃に欠かせない逸品である。味がよく浸み込むように、輪切りにした大根の真ん中に、包丁で×印を入れたりして、家庭により工夫がされている。
刺し身のケン(ツマ)に用いる白毛作りは、細ければ、細い程、口に入り易く、シャッキとしたあの感触は忘れられないものの一つである。ワサビ醬油に適度につけて、口にする時の味わいは、年を経て解ってくるものである。人により好みがあるようだが、栄養価値が素晴らしいのは、はっきりしているのだから、捨てずに食したいものである。また、刺し身のツマに大根を使うのは、刺身の毒消しに、効果があるからだとも言われている。
大根おろしは、焼き魚、チリメンジャコ等、てんぷらの付け汁にも欠かせず、用途は広い。
大根の漬物といえば、タクアン漬けが、全国的に作られていて有名だが、ベッタラ漬けも美味。初秋に出廻る早生大根の皮をむいて、一日二日と下漬けしたものを、米糀に砂糖・ミリンなどを合わせて漬けこんだものである。浅漬けだが、漬けてから十日目前後のものが美味。日が経つにつれて酸味が強くなる。
★年越しそばを食べるようになった理由は?、またいつ頃から始まったのだろうか?
大晦日に年越しそばを食べることは現在では定着しており、年末になると蕎麦屋の風景が、テレビなどで報道されている。年越しそばの行事は江戸時代中期からの事だろうとされている。
年越しそばに込める願い。
① 鎌倉時代に中国から博多に来ていた貿易商が、年の瀬も越せない貧しい人に<そばがき>をふるまったところ、翌年から皆の運が向いてきたので、大晦日に運そばを食べる習わしができた。
② そばの実は三稜で三角形であり、古来三角形は邪気を払う縁起のよいものとされており、無事息災を祈って、<そばがき>を食べた。
③ 蕎麦切りは細く長いので、長寿や身代が伸びるようにと願って食べた。
④ 細工師が金箔を伸ばす時に、台面をそば粉でぬぐうとよく伸び、金粉を集めるのによい。金を伸ばすとか、金を集める意味で始まった。
⑤ そばは新陳代謝をよくし体内を清浄にするので、清浄な身体で新年を迎える意味。
⑥ そばが少々の風雨にあたっても、立ち直るので、それにあやかるようにと願い食べる。
古来、生きる為の切なる願いが様々と込められているのである。
▲年越し蕎麦は江戸時代中期からはじまったが、そば自体は奈良時代には既に栽培されていた。
東 雲 宣 子