季節のもの カニ・かに・蟹
カン詰めのカニの脚は、殆どがタラバカニ(鱈場蟹)で、昔は北海道のタラの漁場でよく獲れたので、この名がついた。
タラバカニは、動物分類学ではヤドカリの一種とされていて、ズワイガニと呼ばれている。秋田・新潟ではタラバガニ・福井ではエチゼンガニといい、日本海西部と北海道にかけて、北の冷たい海の深い所に住んでいる。
主として、底引き網で獲っていて、死んだのは棄てて、生きているのはすぐにゆでて、甲羅をはずして脚を裂き、肉ばかりにしてカン詰めにする。オスは大きくて美味しい。メスはセイコ・コウバコといい、区別する。
蟹工船では、漁獲したカニをその場で、加工して短時間でカン詰めにしてしまう設備が整っている。普通の船の場合は、水揚げして工場へ行き、すぐに作業にかかる。
最近はカニ料理屋をたくさん見かけるが、おかげで、ズワイガニの料理が年中食べられるが、旬の時期以外は冷凍ものだが、やはりこれからのものが一番美味しいのは誰もが認めざるを得ないであろう。
カニの中でもカニの味噌といわれるカニの生殖巣は、美味しく、酒の肴に適している。
ズワイガニは脚が大きいので、包丁で切れみをつけておけば、中の身をとり出しやすく、楽に食べられる。
カニチリ、カニスキ、酢のもの、カニ寿司、カニてんぷら、カニのあぶり焼き等にする。
ガザミは変型をしているので、ヒシガニ、または、本当のカニという意味で、真ガニとも呼ばれている。ガザミは主として胴体、甲羅の中身を食べる。味噌や卵巣も美味である。
メスは春から秋にかけて、二、三回も産卵し、卵は15日~20日で、かえって、およそ1年で親になり、寿命は2~3年ということだ。
タイワンガザミ・ノコギリガザミは、熱帯地方に多く、タイワンガザミは外洋性で、ノコギリガザミは内湾性である。
近年需要が拡大されるにつれ、漁獲が間に合わず、輸入に頼る比率が増えている。
冗談とは言え、女性のおしゃべりを黙らすのにカニを食べさせればよい。といわれたものだが、最近は、包丁をきちんと入れてあり、とり易く、食べ易くしてあり、会話を楽しみながら美味しくいただける。
若いカップルは、女性の為に男性が身をとってあげ、老夫婦は、妻の為にやさしく世話をしているのを見かけることがある。あるいは共同作業で全部準備してから、仲良く食べている家族達。その間も会話は弾む。微笑ましい風景である。 東 雲 宣 子