旬の味

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 秋もいよいよ、たけなわになると、<食欲の秋><味覚の秋>と、年間を通じて最も暮らしやすい季節です。
 秋空に芸術的に美しく、イワシ雲がひろがるときは、イワシの大漁のしるしだと言われています。イワシは活きのいいのを塩焼きにして、おろし大根に醬油をかけて、ジューンと音のするアツアツを食べるのが食道楽と言うものでしょう。

 サンマも同じく塩焼きして、アツアツに大根おろしや、スダチをしぼって食べるのが最高です。広島産のカキも登場。北海道からサケも出てきます。
 野菜も豊富で、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、レンコンサツマイモ、ジャガイモ、サトイモ、タマネギ、カブ等、土の中にあるものが、たくさん旬になります。これらのものをたくさん食べることで、健康へとつながります。その他ズイキ、タマナ、ウド、秋ナス、マツタケ、シイタケ、ハツタケと味覚のラッシュです。近頃は旬でなくても年中出回っておりますので、旬だからだと言ってもあまり気にもとめなくなりましたが、やはり旬のものは旬のものであって、健康的にも味覚的にも最高なのです。味覚を養うためにも旬のものをしっかり食べるのが一番良いと思います
 十月の果実はまず栗でしょう。天候に恵まれた栗は、甘味があって美味しいといわれています。栗ご飯、キントン、ケーキづくりなどいかがでしょういか。半ば頃まではナシも豊富に出回ります。リンゴ、ミカンの早生種、柿もそろそろ出番を向かえます。最初に市場に現れるのが、次郎柿、次に富有柿。そろそろ木枯らしの音が聞こえてきます。
 お寿司屋さんに行けば、いつでも食べられるというものの、この時期のマグロは、特別に美味です。マグロはまっ黒だからマグロ、目が黒いから目黒、黒マグロとかいろいろといわれますが、肉に渋味があるから「しぶマグロ」ともいわれています。トロは腹部で、胸ビレのあたりが特に脂肪が多くて美味です。健康面ではコレステロールが多いので食べ過ぎに注意してください。
 カレイ、ヒラメも旬。これらの白身の魚は脂肪が少ないので、太りたくない人や病弱の人に向いています。
 アンコウも美味。アンコウ鍋の味はまた格別で、冬の夜の楽しみです。タコは関西ものが、美味。イカ、タラも旬です。
 12月は漬物のシーズンです。もちろん主役はハクサイです。普通のハクサイ漬けは定番で、欠かせませんが、朝鮮料理風に目先を変えてみるのも良いでしょう。フライパンにゴマ油を入れて熱し、赤唐辛子を三本ほど丸ごと入れて、真っ黒になるまで火にかけ、黒くなった唐辛子を取り出して捨てる。残った油をハクサイにかけ、油が自然に冷めるまでそのままにしておき、醬油をかけて食べます。ダイコンも美味、ふろふきダイコンは代表的でしょう。柚子の香りがまた素晴らしい。              
華 岡 弥 生