花に寄せて

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 毎年、母の日に二人の嫁は、カーネーションの鉢植えを持ってきてくれる。二、三日は部屋に飾ってから、庭に出して日光にあて、水やりをしたり、丹精を込めて世話をするのだが、蕾のついているだけ咲いたら枯れてしまって、失望の繰り返しであった。それで鉢の置き場所を替えてみたり、太陽の当たり具合を考え、水の加減を工夫をしているのだが、遅かれ、早かれの差があっても、結局上手くいかず枯れてしまった。母の日に向けて花屋さんは、地植えから鉢に植え替えるので、しっかりと根づいていないので、鉢植えの花は枯れやすいと聞いたことがあるが、私は、やっぱり管理が悪いんだと思っていた。

 昨年、長男の嫁は黄色いバラの鉢植えを、二男の嫁はホワイトにピンクのカスミがかった可愛いカーネーションの鉢植えをプレゼントしてくれた。今年こそは、「何としてでも枯れさせない」と、大輪の三本立ての菊を植える大きな鉢を用意して、それぞれ植え替えた。大きな鉢に小さい花が真ん中に、チョコンと鎮座しているような感じで、我れながら少しやり過ぎたかなと苦笑を禁じ得なかった。家族の者も不格好だと笑っていた。
 しかし、一か月も経ってくると、新しい蕾もどんどん増えて、バラもカーネーションもそれぞれ株が広がり、支えの添え木で形を整えてあげなければならないくらいになって、お互いに競いあうように咲き続けてくれた。
 暮れに植木屋さんに庭木の整備を頼んだ際に、株を残して切ってもらったが、もう新芽が出ていて、私を喜ばせてくれた。何か佳いことがありそうな幸せを感じさせてくれた。もう少し暖かくなれば、大きな鉢を二つ用意して、土も新しいのを準備しなければと思っている。今年の母の日に持ってきてくれるであろう<花>に想いをはせ、母の日が待ち遠しく思われる。
 
 カーネーションは、ナデシコ科の多年草で、南ヨーロッパの原産。茎の高さは30~90㎝。葉は対生、線状で、白緑色。芳香がある。紅・白などの美しい花を開く。
 我国には徳川時代初期に輸入されたと記録にあるが、以後も欧米で改良を重ねられ、園芸品種は非常に多い。
 大きさも色々あり、最近は色も多岐に亘り原色のものも、市場に出回り、母の日などは朝早くから店頭で並び、高価だけれども、数量が少ないので、すぐに売り切れたらしい。(昨年に実際に並んで買った人から、一本だけ分けてもらった知人の話。)自慢げに見せてもらったが、私はやっぱり、ピンクや赤、白の方が良いように思った。今年もその方は、並んでまで買いに行かれるのだろうか。少しだけ関心を持っている。    葛 城 陽 子