よもやまばなし

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☆米のとぎ汁
 お米のとぎ汁は、いろいろと役に立つので、昔から重宝されている。母の故郷では、何かといえば、よく餅をついた。モチ米のとぎ汁は、特に肌に良いというので、わざわざお風呂にまで運んで水を最小限にいれて、風呂を沸かした。そんなとき、好意で、風呂に入るように誘って下さるので、もらい風呂をすることになるが、子どもだった私にとって、ぬるぬるとしていて、気持ちが悪かった。

今だったら肌に良いと言われれば、毎日でも入りたいくらいである。日常生活に於いて、お風呂に入れるような多量のとぎ汁は出ない。せめて顔ぐらいが関の山。そういえば、酒造会社の米ヌカの化粧品は、理にかなっているのだ。

☆サ・シ・ス・セ・ソ。
 昔から味つけの順序は、
<サ>は砂糖 <シ>は塩 <ス>は酢 <セ>は醤油 <ソ>は味噌である。
いわゆる味つけに最もスタンダードな、調味料の使用法である。
 調味料は、どれから入れても良いというのではない。試しに、それぞれ同じ量で順序を変えて入れてみるとよくわかる。いずれも微妙に味が違うはずである。
 例えば、塩を真っ先に入れたとすると、あとから砂糖を入れてもなかなか味つけしにくい。つまり。昔の人はよく言ったもので、煮しまるということなのだ。塩で味が優先されて、他の調味料がなかなかしみこまないのである。
 醤油・味噌は、醗酵食品だから、はじめに入れると香りがすっかり逃げてしまって、真の味が味わえない。

☆蕎麦・そば・ソバ
 ソバ殻を焼いたアクで、古器物を洗えば多年の垢もたちまち抜け、金銀細工をするところでは、金銀を伸ばすのにソバ粉を打ち、細工の際に散った粉はソバ粉に吸い込ませて寄せ集める。これらの縁起を祝ったのが、商家の晦日ソバとなり、今日まで続いている。当甘辛のれん会会員の「美々卯」でも、毎年お大忙しとなる。
 旧年の穢れを取り去り、五臓の停滞を除くというのが、年越しソバに利用されると、清祓をする禰宜(ネギ)に通わせて、ネギを共にする風が起こり、引き越しの挨拶にソバを配るようになったのも、塵埃清掃の意味もあるが、お側(そば)に永くという縁起からという。
 ソバは、もともと関東で発祥し、関西では引き越しのご近所への挨拶は「引き越しソバ」とは限らない。自由な発想から気軽に行われていた。最近は、塵埃清掃の意味があるのか?石鹸などが気軽に配られている。           葛 城 陽 子