花物語 ― 擬宝珠(ギボウシ)

kiboushi.jpg  花に関する思い出は、人生にまつわる話が多いだけに淋しい思いが胸をよぎる。姉にそのことを話したら、「仕方のないことよ。お互いに年齢を重ねて、同級生も少し亡くなっていらっしゃるのだから。もっと前向きに行きなさい」と言う。

 姉のところには、我が家からお嫁入りした花々が所狭しと可愛く並んでいる。南天然り、おもと、アロエ、ツメ切り草と、数え上げればきりがない。手入れが良いので生き生きとしている。それを見るとホットする。

 先日、姉から℡があり、擬宝珠をあげるという。早速言って持って帰ったのはいうまでもないが、ぎぼうしといえば、ハ―ト型の葉の観賞用と思っていたが、姉の話しによると、葉の元から葉先に向って、生前並んだ疎く強い平行線が走り、その葉の中から花茎が伸び、清楚な薄紫の花を咲かせるらしい

 普通は、六月~八月にかけて咲くらしいが、姉のところのは、六月にさきがけて五月に咲いたという。今回はどうだろうか、半分楽しみであり半分は気がかりなことである

 姉と私は娘時代から同じお花の先生に師事していたので、久しぶりにお花談義に花を咲かせた。

  梶 康 子