老舗物語 ― 大寅

daitora.jpg  明治9年の創業以来、約130年、蒲鉾一筋に、老舗の味を守り続けてきた伝統の味は、特選された材料に、さらに吟味を重ね、丹精をこめて出来あがった大阪の味である。

 大阪蒲鉾の代表といわれている大寅は四季折々の風情に合わせ、さわやかな豊かな味わいを感じさせる逸品をつくり続けてきた。

 どっしりとした重量感と格調高い味わいは食通に<上方の絶品><味の芸術品>とまで言わせて久しい。その製品は早くから高く評価され、贈答用に最適とされ、贈る人の人柄・真心が伝わってくるような気持にさせる風格をもっている。

 蒲鉾は低カロリ-のうえ、良質の魚カルシュウムを豊富に含んでいる低脂肪で、その上、すりつぶした白身の魚を材料にしているので、消化にとても良い。低カロリー・高タンパクの食品として、食生活をリードしていく健康食品である。

 蒲鉾にもピンからキリまであるのは言うまでもないが、大寅の蒲鉾は見るからに重厚味がある。「ああ、これが本当にほんまもんの蒲鉾なのだ」と思わず言ってしまいそうな、蒲鉾の最高峰である。

 おせち料理に欠かせないのが蒲鉾で、見た目の美しさはいうまでもなく、中身の美味しさは定評がある。蒲鉾といえば大寅。大寅といえば蒲鉾といわれる所以である。贈答用として重宝されているのは、頂いて贈り主のあたたかい気持ちがわかり、ほのぼのとした心の交流、ふれあいを感じさせるものがある。

  梶 康子