食文化の伝承 ― 美味しい旬の魚・果実

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 魚は身体に良いと言われながら、好き嫌いだとか、骨をとるのがじゃまだとか、食卓にはなかなか乗りにくい。
 しかし、魚は健康を保つ重用な食品である。

 三月から五月の間の旬の魚について考えてみよう。代表的なもは、

三月 公魚(わかさぎ)が美味い。すぐに鮮度が落ちるので釣ったすぐのわかさぎを、テンプラにしたり、フライにすると美味い。
細魚(さより)は刺身皿に、グルグル巻に巻いたさよりが前盛になる。結びさよりを椀だねにすると春らしい感じが出る。細長い魚で40cmにもなり下あごが長く突き出ている。背中が青緑色で下側が白い。身体側の中央に、青緑色の縦じまがある。漢名で竹魚、針魚と書く。他にムツ、めじ(マグロの子)が美味い。

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四月 飛魚(とびうお)は胸びれを張って100mも200mも飛ぶのが爽快である。塩焼きにすると春らしい味わいがする。煮たり、刺身は美味くない。生きた星がれい、生きた鮎魚女(あいなめ)共に高級魚である。キスに穴子(あなご)はいつでも美味い。

五月 鰹(かつお)身欠鰊(みかきにしん)磯の小魚が美味しい。キス、笠子(かさご)羽太(はた)など。縞鯵(しまあじ)間八(かんぱち)なども美味。  

 春の果実は、柑橘類では、熟果して採取され、そのまま市場に出るので、新鮮な三宝柑が美味い。続いて八朔、伊予柑がある。温室でないいちごもうまい。バナナ、サクランボ、枇杷も出まわる。冷凍でない“旬”を思いっきり味わいたいものである。

梶 康子