大豆
大豆はマメ科の一年生草木で、東南アジアが原産とされている。多くは畑地で栽培されるが、水田の畦を利用する所では、アゼマメ、また完熟前のを枝つきのままゆでたのをサヤマメとも言う。
大豆は植物性たんぱく質・脂肪に富む栄養食品で、味噌・醤油・豆腐・湯葉・黄粉・納豆、その他料理用・菓子材料・油脂原料として用途はすこぶる広い。
その形状や色によって大きく分けて、丸大豆と平大豆に分かれる。
丸大豆にも黄色・緑色・黒色・褐色と色別され、国産には、黄色系統のものが多く、大小・産地により名称、品質を異にするが、だいたい、味噌、醤油、豆腐、納豆用にする。緑色は青大豆、菓子大豆、キナコマメと呼ばれ、豆粉用、菓子用として重んじられている。黒豆は、料理用、菓子用として優れ、褐色のものは、茶大豆などで、煮豆、豆腐用になる。
平大豆は黒色、緑色,斑色があり、主として煮豆に用いる。
わが国では五穀の一つとして尊重されている重用な食品であるが、ヨーロッパでも「畑の肉」と称えられ、ドイツでは「魔法の豆」と重用されている。
これほど貴重な大豆は、われわれの日常生活の中で深く関わっていて、なんらかの形で、殆どと言っていいくらい毎日食卓に並んでいる。
朝食の納豆にはじまり、豆腐の味噌汁、味付けの醤油、煮豆、オヤツのアン類、キナコなど数え上げればキリがない。
枝豆は、酒席の通しものとして愛好されるので、ハシリを競うようにして早生種が用いられるが、もともと陰暦9月13夜を豆名月というぐらいだから、秋もたけなわになってからが豆の本気節で、小粒よりも大粒が美味。枝についたままゆでたのも風情があるが、一さやずつにハサミで切り、ゆで加減を見てザルに盛り、ワサビ醤油を添えるのも、イキなものである。また、ある料理熱心な、友人に聞いたことがあるが、熱湯をくぐらせる程度にざっとゆであげて、はじき出したのを、布に包んで糠みそに漬けると、風流な漬物になる。焼きみょうばんを少々加えて塩漬けにすると、冬まで持ち越しても色は変らず、酒にも食事にも喜ばれる。
黒豆は一日くらい水につけて、そのまま、とろ火にかけて柔らかくなるまで気ながに煮てから砂糖、塩を加え、含む程度で火からおろし、あとは蒸らして追熟させると硬くならない。黒豆の煮汁に熱湯を加えて常用すると、声帯を整え咳の薬になるという。黒豆を炒って熱湯に入れそのままぐらぐらと煮てた汁は、香りよく古来愛用されていた。
葛 城 陽 子
丸大豆にも黄色・緑色・黒色・褐色と色別され、国産には、黄色系統のものが多く、大小・産地により名称、品質を異にするが、だいたい、味噌、醤油、豆腐、納豆用にする。緑色は青大豆、菓子大豆、キナコマメと呼ばれ、豆粉用、菓子用として重んじられている。黒豆は、料理用、菓子用として優れ、褐色のものは、茶大豆などで、煮豆、豆腐用になる。
平大豆は黒色、緑色,斑色があり、主として煮豆に用いる。
わが国では五穀の一つとして尊重されている重用な食品であるが、ヨーロッパでも「畑の肉」と称えられ、ドイツでは「魔法の豆」と重用されている。
これほど貴重な大豆は、われわれの日常生活の中で深く関わっていて、なんらかの形で、殆どと言っていいくらい毎日食卓に並んでいる。
朝食の納豆にはじまり、豆腐の味噌汁、味付けの醤油、煮豆、オヤツのアン類、キナコなど数え上げればキリがない。
枝豆は、酒席の通しものとして愛好されるので、ハシリを競うようにして早生種が用いられるが、もともと陰暦9月13夜を豆名月というぐらいだから、秋もたけなわになってからが豆の本気節で、小粒よりも大粒が美味。枝についたままゆでたのも風情があるが、一さやずつにハサミで切り、ゆで加減を見てザルに盛り、ワサビ醤油を添えるのも、イキなものである。また、ある料理熱心な、友人に聞いたことがあるが、熱湯をくぐらせる程度にざっとゆであげて、はじき出したのを、布に包んで糠みそに漬けると、風流な漬物になる。焼きみょうばんを少々加えて塩漬けにすると、冬まで持ち越しても色は変らず、酒にも食事にも喜ばれる。
黒豆は一日くらい水につけて、そのまま、とろ火にかけて柔らかくなるまで気ながに煮てから砂糖、塩を加え、含む程度で火からおろし、あとは蒸らして追熟させると硬くならない。黒豆の煮汁に熱湯を加えて常用すると、声帯を整え咳の薬になるという。黒豆を炒って熱湯に入れそのままぐらぐらと煮てた汁は、香りよく古来愛用されていた。
葛 城 陽 子