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のれん折々の詩
mame春の豆ご飯
寒さのぶり返しはあっても、陽の光はまぎれもなく春の輝き。八百屋さんの店先で緑色のエンドウが、初々しく食欲をそそる。豆の中では、一番乗りの春の使者。
 エンドウはマメ科の一年草または越年草。原産地は地中海沿岸とみられ、石器時代から食べていたらしい。今はほぼ世界中で栽培されている。温帯地では秋まき。耐寒性が強く、霜除け程度で越冬できるし、暖地の露地作や、ハウス栽培で、寒いうちから出回る。
 主な成分は、タンパク質と糖質。タンパク質では、リジン、糖質はデンプンと蔗糖が主。ビタミンはB1、B2、Cが比較的多く、リンを含む。
 さやが張って色がよく、一さやに四粒以上の豆が入っているのが良質。
さやに豆の入ったままのを買い、料理の直前にさやの皮をむくと風味が生きる。さやが黄ばんでいるのや、傷ついているのは、霜に当たったか、古いものだから避けたほうが良い。雨が多いと、さやに斑点がでる病害もある。実だけの冷凍品は、手早く解凍し、戻したらすぐ調理するのが望ましい。
 豆ご飯は、それぞれの家庭で炊き方もあるだろうが、私の場合は、豆をご飯の五分の一程度の分量で、豆に塩をまぶして置き、ご飯がふいてきたときに入れ、煮くずれしないうちに火を止め、十分にむらす。ご飯にだしと酒少々で味をつけておけば、また違った風味が出て美味しい。
春の苦味
「春の料理は苦味を盛れ」という諺がある。春に苦味を求める人の心は、そのまま自然の恩恵につながるものとみえる。
 ☆フキノトウ フキの花で、葉茎に先駆けて地上に出る。香気のあるのは、三、四月頃。大地の苦味を背負い込んで出てくる。フキノトウの花茎が伸びて、ほうけるころになると、柔らかな葉が茂ってくる。フキは、四、五月の新葉のうちが、たべころである。
 ☆ワラビ、ゼンマイ、コゴミ シダ類に属し、若葉はくるくると巻いているのが特徴である。よく見ると、ワラビはこぶしの形に巻き、ゼンマイは、時計のゼンマイ形に巻いている。コゴミもゼンマイ形に巻いているが、前かがみの姿から、コゴミの名が生まれたという。
 むせ返るような、草いきれに自然の恵みを感じながらの春の摘み草は、しばし浮世を忘れさせ、心を和ませてくれる。
                              東 雲 宣 子
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